Entries

パタゴニア

2作で1冊、まずは「パタゴニア」から。この「池澤夏樹=個人編集 世界文学全集」のセレクションは結構いい。これは新刊でも買おうかと迷っていたら、運よくいつもの古本屋さんで早々に出てきた。この本を持ち込んだ古本屋さんのお友だちも面白かったと言っていたそうで、期待満々。とはいえ、550ページ、厚み4cmを日々バッグに入れて持ち運ぶには覚悟がいる。そういう理由で愚図愚図先延ばししていたけど、本に挟まれていた池澤夏樹の紹介文が上手くてその気になってしまった。
パタゴニア/老いぼれグリンゴ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-8)パタゴニア/老いぼれグリンゴ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-8)
(2009/06/11)
ブルース・チャトウィン、カルロス・フエンテス 他

商品詳細を見る
パタゴニアは南米の最南端、チリとアルゼンチンの南部地域(南緯40度以南)を指す。国境線上を南北に長く連なるアンデス山脈がパタゴニアに様々な環境を作りだし、氷河があるかと思えば、森林地帯もあり、乾燥した平坦で広大なパンパもある、そしていつも強い風が吹いており、風の国と形容されるそう。日本から見れば地球の反対側だけど、世界から見ても地の果てのパタゴニア。

Bruce Chatwinが彼にとっての聖地パタゴニアを旅した紀行文だけど、所謂紀行文を想像すると全く違う。つまり、パタゴニア旅行ガイドを期待すると見事に裏切られる。パタゴニアを旅するChatwinは、その地の人々とエピソード?神話?逸話?噂話?要は正史ではない歴史を次々に展開していくのだけど、これはむしろ小説の感がある。彼が旅している今を描くのではなく、淡々と乾いた口調で自らの思考や自ら作り上げた物語を語りかけられているよう。私が言うのも変だけど、そしてもちろん翻訳を読んでいるのだけれど、文章が美しい。装飾的の正反対にあるミニマリズム的な美しさ。きっと原文の英語も美しいんだろうなあ。

Chatwinは夭折の天才と言われた人らしい。18歳でオークションハウス、サザビーズで働き始め、抜群の審美眼を持つことに自他共に気付き、あっという間に印象派絵画の専門家になる。そこで6年を過ごしたあと目を患い休職し、その後金銭欲と所有欲が渦巻く世界が嫌になり、考古学を学ぼうとエディンバラ大学に入学するものの、学会の古い体質に嫌気がさし、1年で退学。その後記者として働くが、そこで知り合った建築家の部屋に飾られた彼女手書きの地図を見て、それこそがパタゴニアの地図だったのだけれど、34歳でパタゴニアに向けて出発する。その後は旅と文筆活動に専念し、最後はニースでエイズのため没。享年48歳。短い一生を人の倍の速さで生きたような人生。おそらくパタゴニアに旅立った34歳にして既に人生を達観してしまったのだと思う。

とにかく魅力的でハンサムで洒落者だったらしい。彼はゲイで生涯最後の恋人はあのジャスパー・コンラン。いやらしいと思いつつGoogleで画像を探してみた。
chatwinこの容姿、「パタゴニア」の文体とあまりにもピッタリはまり惚れそうになった(笑)、そしてAmazonへ行き 「The Viceroy of Ouidah」 なる本をポチった(またやっちまった)。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/103-a12b344f

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- - 1 2 3 45
6 7 8 9 10 1112
13 14 15 16 17 1819
20 21 22 23 24 2526
27 28 29 30 - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア