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七つの夜

こちら「ボルヘス、オラル」、に続いて、1977年77歳のボルヘスが7夜にわたって行った7つのテーマ、「神曲」「悪夢」「千一夜物語」「仏教」「詩について」「カバラ」「盲目について」 による講演。「ボルヘス、オラル」ですっかり ”語りかける” ボルヘスが気に入ってしまい、こちら「七つの夜」も声が聞こえてくるよう(但し日本語で・・・)。
七つの夜七つの夜
(1997/06)
ホルヘ・ルイス ボルヘス

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これをボルヘスの書評ととってしまうと、彼の真意に背くんじゃないだろうか?彼の記憶力、読解力 (とでも言うのか) は他者の追随を許さないくらい凄いけれど、別にそれを語るために講演をしてはいない(はず)。彼の ”読み方” や ”解釈” が正しいとかってこともどうでもいい。圧倒的だから目くらましに会うけど、彼が言いたいことは、ただ;
『神曲』を読む幸福を拒む理由などあるでしょうか。しかも、読むこと自体困難ではない。難しいのは読みの背後にあるもの、すなわち様々な意見や論争です。が、この本そのものは純粋です。・・・・無心に読むことを差し控える権利など誰にもないということです。評釈すること、神話の暗示がそれぞれ何を意味するかを知りたい、・・・・といったことは、その後です。最初はこの本を子供のように信じて読まなければならない。

『千一夜物語』で面白いことをいっていた。アラビアンナイトともタイトルされるけど、原題は「1000夜と1夜」ってことらしい。ボルヘス曰く、”世界で一番美しいタイトル”。千という言葉は、無数の、数え切れない、というニュアンスを含む、更にそれに一夜を加えたら、無数に一を加えることになる。英語に for ever (and) a day という言葉があるらしい(へぇ~~)。これはまさしく同じ発想で永遠に1を加えるということ。999夜だとあと一つで終わっちゃうし、1000夜だけだと無数というより、上限に達した感じ、千一夜だとそこから更に始まる物語が感じられるってこと。ああ、わかってきた。いつまでも終わらない物語なんだ。

さて今回私が気になって、でもよく分からないのが、これ。
クロノロジー、歴史というものが存在します。しかしそれらは何よりもまず、西洋が発見したものなのです。ペルシア文学の歴史、インド哲学の歴史は存在しない。中国にも中国文学史はありません。なぜなら人々は出来事の連続に興味を持たないからです。文学や詩は終わりのない過程と考えられている。それは本質において正しいと思います。

でも分かりたいわけじゃない。曖昧なまま記憶のどこかに残しておけばいいや。心地よい曖昧さ・・・

最後に、探してみるもんだね。この本の元になった講演の動画。もちろんスペイン語だけど、なあんにもわかんないけど、しばし聞き入ってみた。

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コメント

[C77] 堪能しましたよ!

千一夜の話、おもしろかった。
いや、ボルヘスの解釈ではなくて、あなたが「終わらないんだ!」と書いているところ
  • 2011-09-11 00:17
  • さかい@tadoku.org
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[C78] 死ぬまでに読もう本に決定

そうなんです、おもしろかったんです。

千一夜物語は世界中色々な版があるそうで、まともに読むと全11巻とか全18巻とか書かれていて、これはやっぱりそもそもの千一夜の趣旨に基づき、1日1夜で読まないとだめみたい。ということで、死ぬまでに読もう本に棚上げすることにしました。

YouTubeのボルヘス講演はかなりオススメですので、是非。
  • 2011-09-11 10:34
  • Green
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[C79] 見ましたよ

わからない言葉だと、ほんとにメロディーやリズムが浮き上がってくる。

いつか劇薬シャドーイングと思って呷ってみたいもんだ。

ところで、文学史の件、19日のウンチクで!
  • 2011-09-13 11:13
  • さかい@tadoku.org
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[C80] 見ていただけましたか!

私はスペイン語に対する認識がガラッと変わったのですよ、これで・・・・
顔まで使って元気にまくし立てているようなイメージが先行していたけど、ボルヘスみたいにスペイン語が話せるなら、スペイン語もありじゃないかと(笑)

> ところで、文学史の件、19日のウンチクで!

ええ~~、せんせーは歴史が存在しないという文学史を語れるのですか?!
  • 2011-09-14 01:10
  • Green
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流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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