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生きていたパスカル

全く知らなかったけど、所謂 ”名作” らしい。Luigi Pirancello、イタリアの作家にてノーベル文学賞受賞者、1867-1936。のっけから告白すると、途中(正確には最後の50ページになるまで)投げそうになったのは一度や二度ではない、でも悔しいから読み切った (奇想天外な話しの割にはだるいんだよなあ)。
生きていたパスカル (福武文庫―海外文学シリーズ) ルイージ ピランデッロ
生きていたパスカル

主人公はマッティーア・パスカル、父が死に財産を管理人の横領されすっかり貧乏になり、その上愛のない結婚をさせられ、強欲な姑と愛情のない妻にやり切れない毎日を送っている。ある日伯母から小金をこっそりもらったことをこれ幸いと家出したマッティーアは (ここが最初の逃亡)、モンテカルロのカジノで思いがけない大金を手に入れてしまう。そんな時、自分の村で自殺死体が発見され、その死体が自分だと断定された記事を新聞で読む。現実のしがらみから開放され喜んだ彼は (ここが2度目の逃亡)、名前を変え自由気ままに旅をするが、放浪と孤独に疲れ、ローマで下宿先を探しそこで暮らし始める (ここが3度目の逃亡)。そこの娘と恋仲になるもののの、死んだはずの人間には、家を買うことも、結婚をすることも、公の権利というものは一切存在しないことを痛感する、つまり彼は自由になったわけではなかった。結局偽名で生きてきた自分を自ら自殺させ (ここが4度目の逃亡)、自分の人生を悲惨なものにした者へ復讐しようと故郷に戻る。故郷に戻ると妻は彼の友人と結婚していた。エンディングは自分の墓の墓参りにて完。

なんだか芝居みたいな本だな、と思ったら、Pirandelloは戯曲を沢山書いている人だった。展開といい、セリフ回しと言い、芝居っぽい。古典の中には真面目すぎて、そんな意図は全くないのに現代から眺めてみると、失礼ながら悲劇のはずが滑稽な喜劇に見えてしまうものがある。ブンガク的にテーマを語れば、”私が私であるとはどういうことなのか?” ってことになるのかも知れないけれど、やっぱり不運だとはいえ、不幸から逃げ回り (私のカウントでは4回)、青い青い隣の芝生に逃げこんでみたけど、やっぱり芝生は青く見えただけだった、ってお話に思えちゃうんだけど・・・

イギリスで暮らしていた時、何が大事って、それはお金とパスポート。これさえあればどうにかなる、いやこれがなくては生きていけない。別にアイデンティティーを失ったわけじゃないけれど、空気みたいになっていた母国を離れて、初めて社会的人間として自分を保護してくれていたものがあり、あうん、で生きていける地に暮らしていたことに気付いた。生きている限り、そのしがらみを不自由と感じながらも、結局それに依存してそれを基盤にして社会生活は成り立っているわけだ。パスポートに記載のある 「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係諸官に要請する」って文言の意味がそれ以来おも~~く感じられる。
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