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マリー・アントワネット 上

未だに買えない復刊短篇選の代わりに、Stefan Zweigの代表作なんぞに手を出してみる。まずは上巻から。
この角川文庫版は新約で、翻訳者は中野京子さん。ドイツ文学者だけど最近出したエッセイの『怖い絵』シリーズが有名かも。他選択肢は大御所(?)岩波文庫1980年刊。難しいと眠くなっちゃうので、読みやすそうな方にしてみた。確かにとても読みやすい。個人的好みを言えば、やや装飾過剰。あっさり系が好きな私としては、ロココ調はドラマチック過ぎるかな?
マリー・アントワネット 上 (角川文庫)マリー・アントワネット 上 (角川文庫)
(2007/01)
シュテファン ツヴァイク

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マリー・アントワネットと言えば、「ベルサイユのばら」と決まっている(笑)。小学生の時、友だちから全巻(10巻位?)借りて一気読みした。マンガの力は凄まじく、教科書に出てくるような登場人物だってマンガなら難なく今でも記憶している。まず驚いたのは、あまりに詳細な歴史の記述、Zweigがいかに研究を重ねたか、それに敬服。「ベルサイユのばら」はこの本を元に書かれているんだよね?本を読んでいると、マンガの絵が次々と浮かんでくる (でもオスカルとアンドレはいない・・・) マンガと違うのは絵にならない時代背景や宮廷での生活、当時の情勢などがふんだんに盛り込まれていること。絵になる様々なエピソードも面白いけど、このあたりの既述は今回初めて知ったことも多くてなかなか興味深い。

フランスのブルボン家、オーストリア・ハンガリー帝国のハプスブルグ家、現代の皇族なんて比じゃないくらいとてつもない豪奢ぶり。あまりに豪奢でリアリティーがない(まあ、そういう意味では江戸時代の徳川家もリアリティーはない)。王朝華やかなりし17~18世紀というのはとんでもない時代で、民衆が革命を起こすのも無理はない。オーストリア・ハンガリー帝国は、多民族国家、悪く言えばパッチワーク国家(大きな旧ユーゴスラビアか?)。そんなパッチワークがズタズタに分裂しないよう、女帝マリア・テレジアがどれだけ全身全霊で国を守ろうとしていたかが痛いほどわかる。

この本が面白いのは、客観的史実のふりをして(?!)書かれていないこと、つまりZweigの視点で書かれている。ルイ16世やマリー・アントワネットがどんな人物であったのかは、Zweigの研究結果としての判断というのがいい。だって私はZweigの意見が聞きたいから本を読んでいるのであって、史実がどうだったかは二の次。 「Chess Story」でも明らかなように、この人は心理描写の達人なんだろう。

さて、上巻で既にバスティーユは襲撃され、革命が勃発してしまった。そしてスウェーデン貴族でアントワネットの恋人、フェルゼンとの関係も明らかになる。時代は怒涛のごとく回転する。下巻も乞うご期待。
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[C87] いよいよ代表作?

代表作なんだよね? 名前は大学時代から存じ上げておりました。いつか読むだろうか? 去年のプラハ以来、ハプスブルク家には興味あります。もうあの豊かさが憎らしくて、憎らしくて・・・
  • 2011-10-01 23:20
  • さかい@tadoku.org
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[C88] ヨーロッパは深い

代表作のようです。
東欧がまだベルリンの壁の向こう側であった頃は、共産主義の否定的な面ばかりを見せられていた気がしますが、このところ東欧の作品も沢山出るようになって、もっと奥深いヨーロッパが見えるようになってきましたね。

Zweigには「メアリー・スチュアート」なんてのもありますよ~~

  • 2011-10-02 11:10
  • Green
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