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ペソアと歩くリスボン

3~4年は寝かしたと思われる。たまに拾読みはしたけれど、今日やっと全部読んでみた。あのペソアが書いた「リスボン観光ガイドブック」。ガイドブックのふりをしたブンガク作品ではなく、ガイドブックとしてそもそも書いた古典的旅行案内。古典なので、レストランガイドもホテル情報もショッピングのお楽しみもないし(あるわけないか・・・)、写真は当時のものだから当然モノクローム。でもモノクローム写真をずっと見ていると、かえって想像力が働く。
ペソアと歩くリスボン (ポルトガル文学叢書)ペソアと歩くリスボン (ポルトガル文学叢書)
(1999/06)
フェルナンド ペソア

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ペソアが生前発表した作品というのは本当に少しで、ほとんどは死後発見された膨大な作品群。但しその膨大な作品のほとんどは、一枚ずつバラバラに書かれ、ごちゃごちゃになった紙片の集まりで、ペソア遺稿探検プロジェクトなるものが篤志たちの手によって開始された。ほとんどが手書き(貧しくてタイプライターも買えなかった!)、紙も質の悪いもので、このプロジェクトたるや相当なものだった(現在進行形?)らしい。この観光案内、ペソア自身が我々をあっちへこっちへ案内して回る、という趣向なのだけど、正確に言えばこの本は、テレーザ・リタ・ロペスというリスボンの大学教授が遺稿の中から拾い上げ編纂したものなので、最後に補足で「フェルナンド・ペソア博物館へ」という章が付いている (あ~~ここには絶対に行きたい)。もちろんフェルナンド・ペソア博物館はペソアの死後創設された博物館。

何が観光案内かというと、開館時間やら入館料やら、この建物は何年に建造されたとか、そんなことまで懇切丁寧に記述してある。文章も詩人ペソアにしては事務的(?)とも言えるほど文学色を排したもの、とはいえ文化遺産限定(産業・芸術・文学限定版)というあたりがペソアらしく、観光ガイドブックと言いながら、決して中立の立場を守っているわけでもなく、かなり主観が入る。”ここは時間があれば見たほうがいい” とか ”絶対に外せないスポット” だとか大きなお世話(笑)のコメントがつく。そう言えば、図書館の紹介も多い。

でも目的は正真正銘 ”外国人に自国文化を知らせる” ためのPR活動。そこにはポルトガルに対する並外れたナショナリズムがチラチラ見えて、ポルトガルを世界に向けて宣伝するアンバサダーに徹し、テンコ盛りの超過密スケジュールでリスボン市内を連れ回す。ツアコンのペソアは、どう考えたって1日で回りきれるはずのない訪問地を紹介した揚句、リスボンは海から入国すべし、と冒頭は勝手に船からの景色で始まる。

ペソアが歩いたリスポンは、今でもこの本で語られるリスボンと同じらしい。信じられないけど、この本を片手に観光旅行は私の究極のリスボン旅行。行く前に一読、観光中に一読、そして行った後に更に一読。「不安の書」の帯にもあった蓋し明言のコピー。 「ジョイスのダブリン、カフカのプラハ、そしてペソアのリスボン」 まさしく・・・
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コメント

[C91] いいね・・・

ぼくもペソアの観光案内を読んでリスボンを歩いてみたくなったぞ!
  • 2011-10-08 20:56
  • さかい@tadoku.org
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  • 編集

[C92] 是非・・・・

私もますます、行きたくなってきた。
遠くて遠いポルトガル。はまると抜けられないポルトガル。
  • 2011-10-08 22:14
  • Green
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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