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タイコたたきの夢

「クレーン男」に感動して、いつも行く古本カフェのお兄さんに ”最近何読みました?” って聞かれた時、思わず ”クレーン男読みました” って答えてしまった。実はその古本カフェのお兄さん、このチムニクシリーズを出版しているパロル舎を受けに行ったことがあるんですよ、と告白してきた。それからしばし、装丁がいいだの、紙がいいだの、翻訳もなかなかいいだの、と盛り上がり、調子にのった私はチムニクを3冊Amazonでポチった、という次第。
タイコたたきの夢タイコたたきの夢
(2000/12)
ライナー チムニク

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「ゆこう どこかにあるはすだ もっとよいくに よいくらし!」そう叫びながら、タイコをたたいて町を練り歩く男。タイコをたたく者は倍々に増殖し、そのどこかにあるもっとよい住処を求めて、大行進を始める。雪と氷に閉ざされた場所、雨の降らぬ砂漠、海にたどり着けば船を作り、更なる陸地を求めて行進を続ける。黄金の眠る地ではみんなが黄金を掘り起こし、みんなが王になり誰も働かず、飢饉に襲われ、みんなが黄金を持つ金持ちなのに、みんなが貧乏になる。でも決して後退せず、前進あるのみ。大公の支配する国ではとうとう戦いを始め、最後にはほんの一握りのタイコたたきだけが残る。地球が丸いことも忘れ、生き残ったタイコたたき達がそうとは知らず元いた場所に戻ってきた時、城門の番兵に拒絶され、初めてタイコたたきたちは、元来た道を引き返す。

「ゆこう どこかにあるはすだ もっとよいくに よいくらし!」 結局そんなものはない。あっちに行っても、満足せず、もっとよい所があるはずだと思い、こっちに行ってももっとよい暮らしがあるはずだと思う。これを人間の欲への戒めととるべきなのか、自由な世界と平等を求めるフロンティアスピリットと誉めるべきなのか、侵略戦争の暗喩と読むのか、ユダヤ人の放浪を透かして読みとるべきなのか、はたまた故郷(現在のポーランド領シュレジエン)を後にしミュンヘンに逃れた彼の人生になぞられた話しなのか。よくわからないまま、物語は終わってしまった。タイコを叩き続ける人たちの見る夢って何?

ライナー・チムニク、「クレーン男」もそうだったけど、なんて哀しい話しを書く人なんだ。。。さらに彼の作品は2冊控えている。
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コメント

[C106] またまた・・・

おもしろそうな本を・・・

読む時間がないので、罪作り、
もちろん時間を作らないのがいけないのだけれど・・・
  • 2011-10-24 00:07
  • さかい@tadoku.org
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  • 編集

[C107] またまた、は、まだまだ続く

チムニクはあと2冊ありますので、どうぞお楽しみに!
本当にあと2冊しかないんだろうか?邦訳がないだけで、きっと英語はあったりするんだろうなあ。オリジナルはドイツ語かあな。ドイツに行けば一杯あるのかなあ。さて、調べてみよ。
  • 2011-10-24 23:35
  • Green
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Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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