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セーヌの釣りびとヨナス

ライナー・チムニクの第3弾目。読み始めたら瞬く間に読めちゃうけど、ペン画風の絵を眺めながらゆっくりゆっくり読んでみよう。絵は3冊の中ではこれが一番いい。1ページにほんの数行の短い文章と余白、そして隣のページの絵。この余白が作り出す間と絵と文章がなんとも絶妙。
セーヌの釣りびとヨナスセーヌの釣りびとヨナス
(2002/09)
ライナー チムニク

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パリでは、セーヌ河に、釣りびとたちがすわりこんで、年中釣り糸をたれている。
セーヌ河は青く、岸は黄色い。釣りびとたちは、赤いネッカチーフを首にまきつけている。パリの陽は、じりじりとその背に照りつけ、釣りびとたちのシャツは、おかげで色あせて、まあたらしい新聞紙みたいに白っぽくなっている。
ここでは静けさが第一だ!
釣りびとたちは、時計をセーヌにほうりこんじまった。セーヌのほとりでは、時も歩みを止めるんだからね。
まちは広大な銀の海に沈み、河波と釣り糸のあいだには、夢の王国がおもむろにひらけはじめる。釣れるのは、ほんのちっぽけな魚ばかり。だが、パリの釣りびととしては、そこがまたこたえられない。


これがこの本の全て。窓からセーヌが見える小さな部屋で暮らす釣りびとヨナス。釣竿を大切にし、水に縁のあるものなら何でも好き。でももっと大きな魚を釣りたい!ある晩神さまから秘伝を授かり、ブタほどもある大きな魚を釣り上げるが、パリの釣りびとたちの反感を買い、街を追い出される。ヨナスはそれから世界中を旅して、大きな魚を釣る方法を伝授し、釣りの神さまに祭り上げられる。ところがアフリカで魚の王者を釣ろうとしたとき、川の中に引き込まれ、九死に一生を得、そして悟る。「人間には限度があるのだ、と。よし人間が一生をかけたって、明るみにひきだすことの出来ない秘密というものが、底の底には存在するのだった。」 ホームシックにかかったヨナスは結局パリに戻り、あのセーヌが見える小部屋で再び暮らし始め、セーヌの河岸で小さな魚を釣り始める。

ヨナスが大きな魚を釣る秘伝を手に、世界中を回りお金持ちになっていくのは、何だか ”わらしべ長者” みたいだけれど、結局ヨナスは長者の座を放り出し、元のセーヌの釣り人に戻る。別に平凡が一番だと説教しているとも思えない。釣りは釣りのみに非ず。大魚を求めるは、釣りの本質に非ず。釣りは暮らしの中にあり。暮らしを忘れた釣りは釣りに非ず(あら?!そんな釣り談義の話しなんだろうか?)
「釣れるのは、ほんのちっぽけな魚ばかり。だが、パリの釣りびととしては、そこがまたこたえられない。」 
そうそう、それが堪えられないのよ・・・
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[C110] あしたはやすみなので

でも、もう寝ます。また見に来ます。ほんのちっぽけな満足を味わいに・・・ おやすみなさい
  • 2011-11-03 00:02
  • さかい@tadoku.org
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[C111] 記事溜まってますよ

明日またどうぞお越しください。
ちょっとサボっている間に記事が溜まってますよ~。あと3つ読んでませんよ~~。
  • 2011-11-03 00:48
  • Green
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Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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