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精神分析ゲーム

はい、問題のこれです。 正解は、「精神分析ゲーム」です。ほら、私は絶対読まないだろうタイトル (悪いけど、とってもつまらなそう・・・)。装丁は悪くないと言ってしまったけど、ちょっと訂正。背表紙がちょっとねえ (面倒だから、写真は撮らない)。まあ、何にせよ期待させてくれたので、列割込みで先に読んであげた。
精神分析ゲーム (バチヤ・グール)
精神分析

オリジナルはヘブライ語だそう。英語タイトルは 「The Saturday Morning Murder」 英語のタイトルも何処といってひねりもなし(笑)。英語版も当然あるのだろうと思ったからAmazonへいってみたら、このBatya Gurという女性作家の本はタイトルに全てMurderが入っている。シンプルというかベタと言うか。でもこの本の主人公の捜査官マイケル・オヘイヨンを主人公にした3冊のミステリーシリーズは世界的なベストセラーになったらしい。日本でイスラエル作家の本が出版されるというのも、あまりあることではないらしい (この調査はまだしていない)。

舞台はエルサレムの精神分析研修センターで、殺害されたのはそこの精神分析医。誰からも一目置かれる優秀な精神分析医で、人から決して恨まれることはありえないと皆が口を揃えて言う人格者でもある。捜査を担当するエルサレム警察署捜査室長代理のマイケル・オヘイヨンは、Harry Boschのようなアメリカの一匹狼的なはみだし刑事ではなく、頭が素晴らしく切れる天才肌でもなく、プライベートでは挫折も問題も抱えながら、組織の中でどうにか折り合いをつけている中間管理職ってところ。ポンポンと話しが展開し、ドキドキ・ハラハラさせて大どんでん返しという推理ドラマではなく、どちらかというと謎を散りばめ、登場人物たちの心理ゲームを見せていく展開。謎の捜査妨害や、閉鎖的な精神分析センターという組織を切り崩していかなくてはならないから、捜査は難航しかなりジリジリさせられるけれど、最終局面は犯人探しというより(犯人は決まりで、どんでん返しはなし)殺害の動機の方で、これが精神分析界の謂わばインテリ軍団の話しだと思うと人間臭くて生々しい。

巧妙なプロット、みごとな構成。ミステリーにふさわしい神秘的なエルサレムを舞台に、精神分析という非日常の世界を扱ったイスラエルの傑作小説。
というふれ込みはやはりちょっと煽り過ぎだった感があるけれど (プロットの巧妙さで売る小説じゃないと思うけど)、精神分析界の人間心理っていう構成はなかなか面白かった。エルサレムの神秘性もちょっと言い過ぎだけど、イスラエルの作家だから描けるイスラエル社会は、移民の国イスラエルという国をもっと知っていれば、もっと深さがわかるんだろうなと思わせる。捜査官のマイケル・オヘイヨンは組織の中間管理職だけど、どこか屈折しているところがやっぱりちょっとカッコイイ。邦訳はちょっと色気がないのが残念なので、次回は英語版を探してみようかな?
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