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Dinner at the Homesick Restaurant

Anne Tylerって絶対に読みそうもない作家だった(根拠はない)。どこと繋がってこの本に行き着いたのか記憶がないけど、表紙のバターがやたら美味そうだし、Amazonのレビューもかなりいいし、本人曰く ”自身の最高傑作” らしいし。。。でも買う前に読んだ粗筋はどう考えても(私の苦手な)とってもdomesticな感じ。申し訳ないけど期待度は低くスタート。
Dinner at the Homesick RestaurantDinner at the Homesick Restaurant
(1992/09)
Anne Tyler

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驚いた、それも最初の10数ページ程度で。。。私が言うのもおこがましいけど、上手い。。。
レジ係をして家族を支える母親は怒ってばかりで、長男は問題児 (flawed devil)、弟は引っ込み思案 (flawed saint)、長女は何をしでかすかわからない (errant and passionate)。父親は子供たちが小さい時に家を出ていってしまい、母親はうんざりする日常の問題を抱え、家族は決して仲良く助け合っているわけじゃなく、噛み合わない母と子供たち。笑いとそこはかとない哀しさの織り交ぜ方は、簡単そうに見えてとっても難しい題材だと思うけど上手いんだなあ。下世話なドタバタ劇で終わらないところは、例えて言えば、TVに出ているピン芸人と、大ベテランの噺家くらいの違いがある。上手いのだけれど、英語がすごく難しいとか、技巧を凝らしているとかそういうことでもなく、すっごい文学作品という感じでもなく、派手さや華やかさがあるわけでもない。それなのに、である。可笑しいけどどこか淡々としていて、うんざりの日常を読んでいる私は全然うんざりしない。

母親は子供たちから見たら、怒ってばかりで他のお母さんみたいに素敵じゃない。長男はflawed devilってくらいで、世渡り上手で何でも勝たなきゃ気がすまない。そこそこのビジネスマンになるけれど、flawed saintの弟に対して競争心(嫉妬心?)を持ち続けた揚句、弟の婚約者を奪いとって結婚してしまう。弟は出世欲もなく優しいけれど、働いていたレストランのオーナーの死とともに店を受け継ぎ、大して儲からないヘンテコなレストランを経営しているコック(その名がHomesick Restaurant)。医者になった末娘は離婚の果て、子沢山のバツイチと再婚してしまう。母親は子供への愛情は一杯だし、良かれと思う道に進ませたくとも、子供たちは勝手し放題で、その愛情も上手く伝わらない。大人になるにつれ、家族が一同に会する場としてHomesick Restaurantにディナーに集まるも、いつも喧嘩が起きて最後のデザートまでたどりついたことがない。

3人称で書かれてはいるけれど、登場人物それぞれの立場で各章が展開していく。娘編、母親編、長男編、次男編、長男の息子編、等々。そして母親の葬儀に数十年ぶりに出て行ってしまった父親が登場する。みんなどこか変わり者だし我侭だし、愛すべき人々というのとはちょっと違うんだけど、それぞれ傷を持っていて孤独で報われないが故に家族同士が疎遠になっていく。最後も家族みんなが幸せに仲良く暮らしましたとさ・・・なんて綺麗事のハッピーエンドで締めくくらない。現実なんて家族なんて小説や映画みたいにはいかないもんよ。でもー。それでもこんなどうしようもない家族でも家族なんだよね、幸せとは言い切れないけれど、途轍もなく不幸だとも思えない。生々しい現実を突きつけられて何だか落ち込む話しってことじゃなく、私にはどこか救いが感じられたし、暖かいものが流れている気がした。

Anne Tylerはどうも中毒患者が出るらしい。それはわかる気がする。私もまた読んでしまいそうだ。
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コメント

[C136]

この記事、「こんなもの見つけた!」で紹介したいけど、あきらめるよ・・・
  • 2011-12-03 13:42
  • さかい@tadoku.org
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  • 編集

[C137] この記事のどこが??

この記事のどこが、「こんなもの見つけた!」になるんでしょう??
URLのズバリ露呈が恥かしいだけで、記事自体は使っていただいてもいいんですけど・・・
  • 2011-12-03 23:06
  • Green
  • URL
  • 編集

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Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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