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Small World

Malcolm Bradbury にちょっと浮気して、再びDavid Lodgeに戻る。 「The British Museum is Falling Down」 も面白かったけれど、これを読むとあれは結構Slapstickだったなあ、と思う。こちらはゲラゲラ笑わない、ニヤっと笑うようなちょっと大人向けのコメディー。小技使いというか、ポンと入れられた一言(一単語?)にニヤっとくるような面白さ(伝わるかなあ・・・)。 David Lodgeの文章はとっても歯切れがいい。(単語のわからなさはさておき)文章は複雑ということはなく、大量のカンマや関係代名詞(あ~久しぶりに使った)で、とっても読みやすいリズムで書いてくれる。
Small WorldSmall World
(1995/06/01)
David Lodge

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登場人物はかなり多くて、しかも世界に散らばっているAcademics。キャラクターも様々で、不遜な奴に世間知らず、上昇志向の強い奴にコンサバな田舎者・・・ この数多の登場人物たちを実に上手く散りばめていて、1章にじっくりではなく、1章の中でとっかえひっかえ登場させる。これにはクラクラさせられっぱなし。恋焦がれている人に偶然再会してしまったり、誰かさんの叔父さんと誰かさんの知り合いが同じ人だったり、偶然の出会いや、知り合いの知り合いが知り合いだったという(それに登場人物たちは都度都度驚くんだけど)Small Worldぶりは、登場人物の相関図を書いてみたら面白そう。Academicたちの会話は私なんぞには??な言葉ばかりで、オチも洒落も分からず終いなことが多いし、文学界の話しだから、文学用語・理論・作家・作品等々の固有名詞は、これ知らない・・・これも知らない・・・(だからぁ、Structuralismって何!!)ってなことも多い。それでも、そんなことはわからなくても、世界一周する勢いの学者連中、いつも同じ面子と出会い、結局みんな知り合いだったんじゃない、というSmall Worldに生きる人々のちょっと隠したくなるような私生活をニヤニヤ笑いながら楽しめる。

登場人物が多くて、事件も多くて、学界のパワー相関図や、不倫から恋愛問題まで事件も沢山発生するというテンコ盛りの内容ながら、最後はすべてが不思議とキレイにまとまって終了するから気持ちがいい。所々でシリアスなシーンもあるけれど(誘拐事件とか、捨てられた双子の話しとか、結婚せずに子供を生んで故郷に戻れない娘の話しとか)、でもそれらでさえクスッとさせる笑いを常に含めていて、それが不謹慎でもないし、一癖も二癖もある学者連中が嫌味な奴かと思いきや、なんだか最後は皆がカワイイ奴らになって大団円。

この本、まるでDavid Lodgeが天から登場人物を好きに動かして楽しんでいるよう。現実社会で考えたらあまりにも出来過ぎのいくつもの偶然の妙を、在り得ないよな・・・と思いながらも(だって、偶然の出会いが多すぎだよ)、興醒めさせず、見事な構成で仕上げ、だからフィクションっていいよね、と満足させてくれるなんて、David Lodgeって上手い!

順番が前後したけど、次は 「Changing Places」 だな (ってもうポチッたくせに・・・)
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コメント

[C192] そうそう!

と思いながら読みましたよ。

ほとんど余すところなく魅力を語ってくれたな。

ただし、ぼくにもわからないのだけれど、あの小説には古典からたくさん借りてきてるんだそうな。いつかかっこよくどこがそうなのか、わかるのだろうか?
  • 2012-01-18 22:54
  • さかい@tadoku.org
  • URL
  • 編集

[C193] まだまだ!

> ほとんど余すところなく魅力を語ってくれたな。

私はまだ語れるなあ(笑)
ブログには書かなかったけど、ヒースロー空港のBAのチェックインカウンターの女のヒトの存在!あの人は天に代わり、地上で登場人物を操る役目を仰せつかったとしか思えない!つまり私にはどうにも彼女が人間だと思えなくて(天使とかそういう類の存在)、最後に”愛していたのは彼女だ!”と気付くけれど、天に帰っちゃったんだから、世界中を飛び回ってもいるはずはないんだよね・・・(というのが私の妄想)

> ただし、ぼくにもわからないのだけれど、あの小説には古典からたくさん借りてきてるんだそうな。いつかかっこよくどこがそうなのか、わかるのだろうか?

Pasticheってやつですか?どうもあるらしいです。私は古典を読まないので、全然わかりません。いや、読んでいても私は気付かないだろうなあ(私の場合は)。じゃあ、ふつーのNativeだったらふつーにわかるんですかね?私たちが、あ!これは夏目漱石だ、なんて気付くだろうか?(気付かないような・・・)

あ、もう一つ知りたいのは、David Lodgeは登場人物の名前に絶対に意味を持たせていると思うのだけど、その持たされた意味がわかりたい!
  • 2012-01-19 00:39
  • Green
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Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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