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Changing Places

次は1つ戻って、キャンパストリロジー第1作。シリーズものは最初から読んでいくのが正当な読み方だろうけど、戻るというのも時にはいい。あ~そういうことだったのね、という発見も面白い。このトリロジーの主役といえるのは、英国のぱっとしない学者Philip Swallow と アメリカの花形教授Morris Zapp。この二人が交換教授という制度の元、それぞれお互いの大学に勤務し、揚句にお互いの奥さんまでもスワップしてしまうという在り得ない設定。
Changing Places: A Tale of Two CampusesChanging Places: A Tale of Two Campuses
(1979/10/25)
David Lodge

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時は1969年。アメリカでは大学紛争と女性意識の芽生え(ウーマンリブ)の時代。アメリカとイギリスは私たちが思う以上に当人たちにとっては違う国なんだろうけれど、そんなカルチャーギャップは案外どうでもいい(笑)。二人のキャラクターは全く正反対ながら、結局二人とも同じことしてるじゃん、というところがミソ(というか笑いのネタ)。お互いの国の悪い点を論うという自虐的な笑いを散りばめながら、でも二人とも馴染んで何だか穏やかに暮らしていたりする。自虐的なのはとってもイギリス的なのに、何故だかほんわかした気分になるからどいつもこいつも最後には憎めなくなる。

PhilipがMorrisの奥さんとのっぴきならない状態になり、悶々と自身でフラッシュバックをしている最中にイギリスにいる奥さんに頼んでいた「小説の書き方」とう教科書が届く(但し水濡れのダメージ品として)。その崩壊しかけている本を何げなく開くとこんな文章が・・・
"Flashbacks should be used sparingly, if at all. They slow down the progress of the story and confuse the reader. Life, after all, goes forwards, not backwards."
この辺りがLodgeの在り得ないけど笑っちゃう小技で、「フラッシュバックの手法は程ほどに・・・」 の後に、Life, after all, goes forwards, not backwards なんて一文を入れてみたりする(クソ面白くもない教科書にこんな一文があるとは思えん)。つまり神からのお告げのごとく、Philipに囁くわけ。在り得ないと言えば、Morrisの下宿先に、飛行機が不法投棄した凍った尿(!?)が落下したり、お互いの乗っている飛行機が空の上でニアミスを起こしかけたり、そもそも最後はスワップ夫婦が2組揃って、New Yorkで今後の事を話し合う、というもの在り得ない。そこでの4人の会話はもう、落語か掛け合い漫才のような馬鹿らしさ。

通常の3人称文体があったり、手紙だけの章があったり、新聞記事等だけの章があったり、最後は映画のスクリプト形式で、これだけやられるとそんなところに凝らなくても・・・とか、実験小説みたいなことしなくても・・・と思ってしまうけれど、これが全然やり過ぎじゃなくて、むしろ効果的だからLodgeは上手い、と思えるんだよなあ。

さてこの可笑しなコンビが、トリロジー第3作目「Nice Work」ではどんなお茶目なことをしでかすのか?「Nice Work」はウチの未読本棚で静かに(?)出番を待っている。
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