Entries

Little Misunderstandings of No Importance

邦訳が出る気配がないAntonio Tabucchi。翻訳されていないものがかなりあることまではわかるんだけれど(専らWikiで調べる)、原文表記のままだとイタリア語で、じゃあそれが英語ならあるかと英語Wikiに飛んでみてもこれまた編集不十分・更新作業不十分でよくわからん。この本もAmazonにあったから買ってみたけれど、よくよく調べたら、「Piccoli equivoci senza importanza」というタイトルで1985年出版、つまり初期の作品だった。
Little Misunderstandings of No ImportanceLittle Misunderstandings of No Importance
(1989/10)
Antonio Tabucchi

商品詳細を見る
本の始めは「NOTE」と題されたTabucchiの前書き。
Baroque writers loved ambiguity. .....
I, too, speak of ambiguities, but it's not so much that I like them; I am driven, rather, to seek them out. Misunderstandings, uncertainties, belated understandings, useless remorse, treacherous memories, stupid and irredeemable mistakes, all these irresistibly fascinate me....
I might be consoled by the conviction that life is by nature ambiguous and distributes ambiguities among all of us.


まさに何とも曖昧な11の短編集。何が曖昧かと言うと、結論(オチ)の無さだけでなく、そもそも登場人物のバックグラウンドの説明がない。Ambiguityと前書きに親切にも書いてくれているのに、最初の2~3篇は途方に暮れる。Tabucchiはミニマリストと呼ばれている、だから言葉は厳選され、シンプルで、そして読者にほんの僅かの情報しか与えないし、プロットというほどのプロットもない。話しの最後は不可解で謎だらけの曖昧さ。人物の心理描写を切々とを描くくせに、この人はどうして今ここにいるのか?なぜ悲しいのか、なぜ絶望しているのか、何もない。

でも読み進むとそれが不思議と気にならなくなってくる。そして結論もプロットもないとわかっていてもページを捲らずにはいられなくなる。11篇はすべて憂鬱な物語だけど、Pleasantly brooding talesっていう解説を発見してああ~そう・・・と納得。憂鬱だけど悲惨ではない。人生の人間の本質はambiguousと言いながら、絶望していないし、美しい、そう信じている(気がする)、だからTabucchiは嵌まる。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/194-a20abd29

トラックバック

コメント

[C577]

Greenさんも大ファンだというTabucchi.私も以前何冊か読んで好きだったけど、最近またはまっています。記事があるかなと調べたら、さすが、英語で読んでいたのですね「Little Misunderstandings of No Importance」
「とるにたらないちいさないきちがい」のあとがきの中に解説の一部で「レクイエム」の序文の一部分があって、比べちゃったら鈴木昭裕氏の訳のがいいなあ・・・と思っちゃいました。
たまに同じもの(一部だったりするけど)を別な訳者で目にすることがあってやっぱり日本語の力量ですね。私は翻訳者のエッセイも読んじゃったりするのですが、その点、以前話題になったスペイン語翻訳の木村榮一氏は私の中では最高です。
  • 2018-04-15 21:59
  • mAr
  • URL
  • 編集

[C579]

Tabucchiは今のところ、私にとってのNo1で、この先も越えるとは思えないくらい好きです。
「Little Misunderstandings of No Importance」は確か邦訳が出た気がします。初Tabucchiは確か「島とクジラと女をめぐる断片」だったと思うのですが、最近河出から文庫が出ていたのを発見しました。途中から代わってしまいましたが、私は須賀敦子さん訳で育ったTabucchiファンです。

スペイン語では、私も木村榮一氏は別格です。ただ英語⇒日本語は数も多いし、翻訳者も多いし、好き・嫌い・上手い・下手の差が大きい気がしますが、スペイン語は安定している方ではないでしょうか?好みはあるけれど、ウマ/ヘタはそれほど大きくないような??
  • 2018-04-16 13:40
  • Green
  • URL
  • 編集

[C580]

先の私の文章わかりにくいですね。この邦訳が「とるにたらない・・・」(和田忠彦訳)で、そのあとがき(解説)に同じくTabucchiの「レクイエム」(鈴木昭裕訳)の序文の一部が和田氏(須賀敦子さんのあとに)の訳で紹介されていて・・・ということでした。

タイトルに惹かれて「島とクジラと・・・」が私も初Tabucchiでした。ずいぶん前ですがその時からアソーレス諸島はあこがれです。国は違えど大西洋の島々としてカナリア諸島にはwindsurfingの大会を撮りに毎夏(今年で6年目)行ってて(仕事じゃない)、そのためにだけにスペイン語をやってます。方向少し変えていよいよアソーレス諸島?と思い始めてる。ポルトガル語だけど・・・
  • 2018-04-20 20:13
  • mAr
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 78
9 10 11 12 13 1415
16 17 18 19 20 2122
23 24 25 26 27 2829
30 - - - - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア