森毅氏が解説を書き、挿絵は佐々木マキ。結構力が入っている。その森毅氏、『ちくま文学の森』というシリーズがお気に入りで、戦後の学生時代、この本を闇市の古本屋で買ったらしい。で、このMasshimo Bontempelli マッシモ・ボンテンペルリって誰?(誰か知らずに私はいつどうやって見つけて買ったんだろう??)
わが夢の女―ボンテンペルリ短篇集 (ちくま文庫)
Bontempelli は政治的にはファシストで、文学的にはインターナショナルな人だったらしい (上手く理解できない)。作風はといえば、不思議で変。星新一を彷彿とさせるけれど、星新一ほど人間臭くない。喋らないものが喋ったり、動かないものが動いたり、ナンセンスでグロテスクで、奇妙奇天烈。佐々木マキのイラストが軽い文体と奇妙な作風と実に見事にマッチしている。23篇もの短篇を収納しているので、一篇は短くて、軽快だからスイスイと泳ぐように読める。
当たりハズレが無くどれも佳作、逆に言えば、あまり沢山読むとちょっと飽きる。現代イタリア作家の中でもっとも評価することの難しい作家と言われる異才らしいのだけれど、この奇妙奇天烈の裏に、風刺や不条理を読み取るべきなのかしらん?それともこの明るいグロテスクさをそのまま笑ってしまえばいいのかい?その割には一篇一篇の内容を覚えているなあ(私は読んだ傍から忘れていく脳しか持っていないのに)。奇妙奇天烈な顔をして案外展開とオチは単純だった。それでも何だかそれだから安心するようなオチ。ま、それでいいなら、通勤電車にはうってつけの本。
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