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Angels Flight

「Blood Work」 を読んだら、Boschと競演するという「A Darkness More Than Night」 がすっごく読みたくなった。でも出版順に読む、と固く心に誓ったので、その前の1冊、「Angels Flight」 をまずやっつける。Angels FlightっていうのはL.A.の名物ケーブルカーらしく、Googleで画像検索してみた。かなりな急勾配を走るケーブルカーで、車両自体も斜めに作られているので、車内にも段々のステップがあるなんともキュートなケーブルカー。次回の競演作の前ふりとして、クリント・イーストウッドが主演した「Blood Work」のポスターがケーブルカーから見えるとか、映画はTerry McCalebという元FBIエージェントの実話に基づく話しだとか、Boschが前に一緒に仕事をした、云々の自作の宣伝付(こういうのを楽屋落ちネタというんだろう)。
Angels FlightAngels Flight
(2012/01/01)
Michael Connelly

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今回の被害者は、人権をたてに警察の瑕疵をつき、正義を訴え、揚句に大儲けしてしまうという黒人の超有名辣腕弁護士。LA警察を何度も負かしたことのある人物で、犯人は彼に恨みをもつ警察内部の人間か?ということで、マスコミも大騒ぎ、LA警察内部も大騒ぎ、再びロス暴動か?という思惑が飛び交い、政治的な事件になってしまう。そして大捜査団が結成され、なんとBoschがその指揮官となる。いつも事件は単純ではないけれど、今回はその殺された弁護士が抱えていた殺人事件に絡んで彼は殺害されたらしい、ということでそちらの殺人事件の洗い直しが始まる。これがまた、LAを牛耳る超大物で、金に糸目をつけず警察から政治家から買収している男の継娘の殺人事件で、児童虐待+幼児性愛が絡むというかなり時代を意識した設定。

とは言うものの、政治的背景や人種問題ネタがテーマなら、ノンフィクションを読めばいいわけで、これがエンターテイメントたる所以は、そこに関わる人たちの人生や心理描写が描き込まれるからで、ただでさえ組織で浮いているBoschがこんな事件の指揮官を取るわけだから、LA警察内部のせこさ、保身に走る上層部との戦いが今まで以上に凄い (上層部が勢ぞろいして臨む記者会見に無理矢理出されことになるBoschとその上司Irvingの会話が泣けるような、笑えるような・・・)。更に更に、前巻で結婚したBoschは奥さんと結局上手くいかず、別居状態に陥る。何とも嬉しい限りのテンコ盛り。幸せなBoschが早くも元の不幸で寂しい一匹狼に戻ると、やっぱり、Boschは不幸な方がカッコいいよね・・・と納得。今回はいつになくBoschの感情が激しく揺れ動く作品だっただけに、さすがにフィクションを通り越し同情が湧いてくる。組織との壁、本当の正義を貫くことの狭間で揺れるBosch。
「自分は何にもわかっちゃいないような気がした。妻のことも古い友だちのことも、自分が暮らす街のことも。何もかもが彼にとってStrangerのような寂しさの中で、追い詰められたKate Kindcade と Frankie Sheehan の気持ちがわかり始めたような気がした。」
・・・ てなあたり、何とも泣けてくる。

「A Darkness More Than Night」のためのやっつけのつもりで読み始めたけど、シリーズの上位ランクにしてあげてもいいぞ!このシリーズは何だかんだ言っても勧善懲悪がベースにあるのだけれど、今回は現実との妥協?摺り合わせ?を含んだ ”あ~~こう来たか・・・” という苦いエンディングでした。
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コメント

[C225] これ、ぼくは二度読んだな

犯人を捕まえるまでの推理と証拠固めと経過もだけど、警察内部のもめ事や人権問題の裏側みたいなところがおもしろいよね。Irvingはよい憎まれ役です。今後どうなるか、たのしみにするといいよ。
  • 2012-03-08 23:18
  • さかい@tadoku.org
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[C226] そー

Boschって何が凄いかというと、抜群の推理力+第六感がありながら、きっちり証拠固めをする理論家でもあるところ。LA警察のお偉いさんが記者会見で述べるスピーチは、あまりに空々しい奇麗事が並び、こんな英語が喋れれば私も一人前か?と思ってしまった。弁が立つってこういうことがスラスラ言えることなのかしらん?

常連Irvingはもう貴方なしではこのシリーズは成り立たないという位、好きな(?)キャラです。やっぱり悪役の良さで話しの面白さは決まるのです。
  • 2012-03-08 23:36
  • Green
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Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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