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罪悪

「犯罪」に続いて同じくFerdinand Von Schirachのこの本を。「犯罪」の第2弾というノリ、決して二番煎じと言わないのは、この独特の素っ気無いほどの乾いた文章がかなり好きだから。
罪悪罪悪
(2012/02/18)
フェルディナント・フォン・シーラッハ

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今回は短篇といってもショートショートな15篇。元刑事事件弁護士だから、またもや実際の事件を元に書かれたんだろうか?人間の発明できるものなど所詮人間が想像できるもの、なんてどこかで読んだ記憶があるけれど ”事実は小説より奇なり” という言葉が頭をよぎる。ふとしたはずみで180度違う人生を歩むはめになる現実は、想像をはるかに超えるほど残酷で、人間の怖さにぞっとする。

今回は「罪悪」というだけあって、過程と顛末を語る前回の「犯罪」よりも、より人間の犯す罪・罪の意識に焦点があたっている。怖さの理由のひとつは、どこにでもいそうな普通の人間が、少しだけ何かが違っていたらそのまま平穏に暮らしていけたはずが、そのほんの僅かの歯車の狂いで転落していく、その転落度合いが、尋常でないくらいの転落で、普通の人々なだけにそのグロテスクさにぞっとする。いや、本当に顔を背けたくなるくらいぞっとする。

それにしても言葉というものはこんなに少なくてもいいんだと感心する。まるで調書でも読んでいるような、乾いた感情移入を排したような数篇が続くのだけれど、後半からやや人間的(?!)になってくる。最後から2つ目「家族」はちょっと中途半端。最後の「秘密」 は明らかに笑いを取ろうとしているよね?というなんだか不思議なフィニッシュ。ま、ぞっとしまくりだったから、これでも許そう。

自身の弁護履歴ネタはまだ持っているのかな?それが尽きたらこの完全無欠な超乾燥文体で、是非フィクションを書いていただきたい。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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