Entries

ポータブル文学小史


「バートルビーと仲間たち」という本が数年前に出て、それは結構評判がよかったみたいなのだけど、私には実際それほどでもなくて、この次回作は二の足を踏んでいた。古本カフェで発見し、¥1200で手を打つ。おっと、次回作かと思ったらこちらはスペインでは1985年に先に出版され、邦訳出版とは逆なんだ。奇才を生むスペインバルセロナのEnrique Vila-Matasの作品。
ポータブル文学小史ポータブル文学小史
(2011/02/15)
エンリーケ・ビラ=マタス

商品詳細を見る
秘密結社「シャンディ」に集う前衛芸術家。「ポータブル」という概念を軸に、有名どころの文学者・音楽家・芸術家のぶっ飛んだ活動(生態?)と、精神錯乱状態を描く、まあ確かに文学小史。ウソかと思うくらい凄いメンツばかりが登場するので、これは作り話かと思いきや、訳者あとがきに 「細部は歴史的な事実がきちんと押さえられており、引用文の出典も多くは跡づけることができる」と書かれている。さらに巻末には「シャンディ名鑑」と銘打って、芸術家一覧まで付いている。でも名鑑に架空の人物まで入れているところを見ると、虚実入り混じった文学小史なんだろうけれど、その混濁感がこの本の真髄だね。

登場するのは、デュシャン、パウル・クレー、サランドール、オキーフ、ピカビア、カフカ、その他諸々。ポータブルとは、軽くて持ち運び可能ということだけれど、「ポータブル文学」とはどんな軽さのことなのか?秘密結社「シャンディ」と見なされるための条件というのがある。
革新の精神、端正なセクシュアリティ、壮大な意図の欠如、疲れを知らない遊牧生活、分身のイメージとの緊張に満ちた共存、黒人の世界に対する親近感、傲慢な態度をとる技術の錬磨
ポータブルとは単なる軽薄短小ではなく、既存の概念や伝統的、歴史的なものから解き放たれるという意味の軽さであり、そこから新たな創造が生み出される。

作中に出てくる奇妙な生き物(化け物なのか、何かの化身なのか?)、オドラデク、ゴーレム、ブカレスティ・・・この正体を知りたければ、
『家長の悩み』 カフカ
『ゴーレム』 マイリンク
『ミレー《晩鐘》の悲劇的神話 - 「パラノイア的=批判的」解釈』 ダリ
を読んでみよ、と訳者あとがきに書いてある。訳者はあの木村榮一氏である。あ~また余計なことを・・・ 
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/217-605d1fb8

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- - 1 2 3 45
6 7 8 9 10 1112
13 14 15 16 17 1819
20 21 22 23 24 2526
27 28 29 30 - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア