Entries

Distant Star

昨年夏以来のRoberto Bolano。この暗さ、不可解さ、怪しさ、邪悪さ。アメリカではどんどん翻訳本が出ている。一般受けするとは思えないけれど、独特の世界観は、私が今まで読んできた、逆境でも貧困でもどこか明るいラテンアメリカ文学とは違うもの。商業的な成功は保証しないけれど、日本でももっと紹介するべきだと私は思うんだけど・・・
Distant Star (New Directions Paperbook)Distant Star (New Directions Paperbook)
(2004/12/30)
Roberto Bolano、Chris Andrews 他

商品詳細を見る

登場人物はいつもながらのチリを中心としたスペイン語圏の詩人・文学者たちで、時代もアジェンデ政権からピノチェト独裁政権へ移行する時代。物語を語るのは、やはり一人のチリの(自称)詩人で、強制キャンプに入れられ、開放されたのちヨーロッパ、主にスペインを彷徨う。このあたりの政治的背景と放浪の旅は、作者のBolanoとかぶる。チリの大学の文学サークルで出会うCarlos Wieder (またの名をAlberto Ruiz-Tagle) がSilent Protagonistで、実際に登場するのは最初と最後だけなのだけれど、全編を通して幽霊のように消えては現れ、再び消えては現れる。ある時はピノチェト政権下で空軍のパイロットとして空にスローガンを描き、南極飛行をし、プライベート写真展を開き、文学活動に従事し、虐殺行為を行う。それらはすべて人伝いの話しながら、無名の語り部の脳にこびり付いた脅迫観念のように常に付きまとう。

文章はあいも変わらず、会話も地の文もベタ書き、カンマだらけで、洗練されているとか美しいとか全然ない野蛮さ。にも関わらず暑苦しさの欠片もない冷たく濡れた文体。結末がないのも相変わらず、でも不完全燃焼はせず満足感は残る。Bolanoの本を読み終えると、いつも頭に爬虫類のイメージが浮かんでしまう。

"What star falls unseen?"
  William Faulkner

というのが、この本のエピグラフの言葉。William Faulknerの作品はひとつも読んだことはないけれど、彼がエピグラフに使うのなら、読んでみるべきか?
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/219-018130a1

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- - - - 1 23
4 5 6 7 8 910
11 12 13 14 15 1617
18 19 20 21 22 2324
25 26 27 28 29 30 -

全記事

フリーエリア

フリーエリア