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セザンヌ展

気を取り直して、というわけにはいかないけれど、セザンヌ展の報告。今回はセザンヌの作品 ”ばっかり” 約90点(ばっかり、というのが素晴らしい!)

いつからセザンヌが好きになったのかよく覚えていない。でもどの絵に惹かれたのかというと、Mont Sainte-Victoire (サント=ヴィクトワール山)。それがどうしてなのかは未だに自分でもよくわからない。Mont Sainte-Victoireは連作で彼の晩年の作品。晩年のほとんどはこの山のあるプロバンスで過ごしたらしい。そもそもの出会いは人並みに教科書にのっていた静物画。ちなみに静物画はStill Lifeと呼ぶのだけれど、なかなか素敵な言葉だなあ。ただ中学生くらいじゃ、あの静物画はただのリンゴとくしゃくしゃのテーブルクロスにしか見えず、私にとってのセザンヌは、何だか教科書的な画家だった。
サント=ヴィクトワール山 これがその「サント=ヴィクトワール山」のひとつ。
首吊りの家 これも結構好きな「首吊りの家」

セザンヌは「近代絵画の父」と呼ばれている。何がそんなに凄いのか好きなくせによくわからなかったけれど、今回発見したのは、彼にとって構図はとても大切なものだったということ。有名な「リンゴとオレンジ」は、近代絵画の定石の遠近法を全く無視したものだったし、人物画や風景画にも実はその無視した遠近法が登用されている。これが後のキュビズムへの布石だよな。

他の絵画でもそうなのか、セザンヌがそうなのかは不明だけれど、今回の驚きは1mの近さでみる絵と5m離れて見る絵がまるで違って見えること (ちなみに買ってきた絵葉書大の写真はどの距離からでも同じに見える)。1mの絵は、筆致ばかりが見える色のモザイクのよう。水面などは横並びの筆致、真直ぐに並ぶ木々は縦の筆致。これは、印象派のモネやルノワールもそうなのかも知れないけれど、あまりに違って見えるので、全ての絵をこの遠近両用手法で今回は眺めてきた。5mに離れた瞬間に驚く位、絵が浮かび上がる。

芸術家に限らず、人間人生の終盤になるに従い、余計なものをそぎ落としていく。セザンヌの絵も初期のころは、パレットナイフで油絵の具を厚く塗りこめた作品が目立つし、「リンゴとオレンジ」はテーブルの上の数多くの果物と、2枚の絨毯の模様との複雑な構成。それが晩年の作品は、水彩の抽象画のような軽やかなタッチになっていく。筆致もさらに大きく色が重なりあって、今回の遠近両用手法で1mの至近距離だと、もう何だかよくわからない。これが5m離れた瞬間に生き生きとしてくる。

桜も咲き始めたポカポカの春の一日。平日だからと高をくくったら、人気のある展覧会は平日でもそこそこ混雑していた。皆様、平日のご鑑賞をお薦めします。
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コメント

[C240] 5mの距離で・・・

がらっと変わる光景を見たい。

モネもそうだよね。
  • 2012-04-05 22:41
  • さかい@tadoku.org
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  • 編集

[C242] 変わります

画家って、目が2つじゃないんだと思った。少なくともあと2つはないとあんな絵は描けないはずだ。
  • 2012-04-06 01:56
  • Green
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