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選ばれた女<1>

これぞ ”物語” みたいなものを時には読んでみたくなる。2段組で1ページにびっしり文字が並ぶ、それが上下巻で約1000ページ。西欧でプルースト、ジョイスに比肩しうると絶賛された「世紀の傑作」とも評されている(そんなに凄いのか?) 確かに昨今の軽い軽い本たちの究極にあるようなずっしりとした本で、1968年のアカデミー・フランセーズ小説大賞受賞の恋愛大河小説。長篇小説ってとにかくこれを書いた人、翻訳した人ってそれだけで凄い。
選ばれた女〈1〉 (文学の冒険シリーズ)選ばれた女〈1〉 (文学の冒険シリーズ)
(2006/09)
アルベール コーエン

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1930年代のジュネーブ。ユダヤの血を引く国連事務次長(国連ナンバー2)ソラルと、彼の部下、アドリアンの妻アリアーヌとの不倫の恋の顛末。ソラルは男も惚れてしまうほどの類稀なる美貌とセンスの持ち主で、社交界の貴婦人たちをたちまち虜にする現代のドンファン。対するアリアーヌも、大貴族の娘で絶世の美女。そして脇役もなかなかのもので、アリアーヌの夫アドリアンと彼の養母ドゥーム夫人。この二人の俗物ぶりは絶賛に値するくらい見事で、最初こそ笑ってバカにしていたものの、ここまで徹底されると感動さえする位のスノビスムっぷり。来る日も来る日も、仕事なんてそっちのけで、自分の出世と欲のことしか考えない輩が繰り広げる夜な夜なのパーティーやら、上流階級の見栄の張り合い。

それぞれの登場人物が延々と語る一章丸ごとのモノローグは、叫び、罵倒、愚痴、堂々巡りに、一人芝居に、狂喜乱舞・・・ と、とにかくくどい(笑)。そう、くどいのだけれど、この本の凄いところは、そのくどさが陳腐でないところ。スノッブな親子のスノッブぶりも、絶世の美男美女の愛の囁きも、赤裸々で恥かしい程の描写ながら、何故かハーレクインドラマにはならない。

第1巻は、めでたく美男美女が愛の成就を遂げたところまでだけれど、この先、ホロコーストの暗雲忍び寄るヨーロッパを舞台に、転落していくふたりとその周囲が描かれるらしい。
第2巻へ続く・・・(それにしても、2段組はなかなかページが進まない)
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[C243] 時間があれば・・・

Kindleで出ているだろうか? Kindleで出ていて、時間があったら読んでみたいぞ!

ピース・ボートに同乗して多読講座を1年間やるという話があって、その時には絶対この本だな・・・
  • 2012-04-10 23:51
  • さかい@tadoku.org
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[C244] ない。

kindle版ないです (だから私はKindleを買わないんだあ!)
http://www.amazon.com/Belle-Seigneur-Penguin-Twentieth-Century-Classics/dp/0140188711/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1334082631&sr=1-1

古本でないとすると、$200もするんですねえ・・・しかも1000ページを1冊にしているから、5cm近い厚みになって、とっても読みにくそう。
  • 2012-04-11 03:37
  • Green
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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