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青の寝室

Georges Simenon、これの次には何を読もうかな?と思いながら、副題がちょっと気恥ずかしいけれどこれにしてみた。
青の寝室---激情に憑かれた愛人たち (【シムノン本格小説選】)青の寝室---激情に憑かれた愛人たち (【シムノン本格小説選】)
(2011/02/17)
ジョルジュ・シムノン

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フランスの田舎町トリアン、妻子ある自営業者トニーと食料品店の妻アンドレは、9月のある夜、郊外の森の中で突如火がついたように互いの身体を求め合う。それからの数カ月、二人はトニーの弟が経営するホテルの青い色で統一された部屋で激しい性行為を繰り返す。しかし、ある出来事から周囲の視線に怯えるようになったトニーは、アンドレから距離を置くようになる。情熱的なアンドレは逆にトニーを追い込んでゆく。そしてついに、アンドレの夫とトニーの妻の毒殺死体が別々の場所で発見される。二人を巡るスキャンダルが町中に広がる。そして二人は夫殺し、妻殺しの罪状で逮捕され、陪審裁判にかけられる…。 と粗筋は本の見返しからのパクリ。

話しは濃厚なベッドシーンから始まるけれど、いきなり判事の尋問シーンに移り一瞬と惑う。読み進みながら、トニーへの執拗な尋問に絡めて、事件が展開されていくといった2重構造。なのに後半に行くに従い、何が起こったのか?というのがよく見えなくなってくるのがうまい。確かにお互いの伴侶が毒殺される。ふたりの不倫はトニーだけが知らず、村内では周知の事実だった。トニーは不倫をするには脇が甘いし、良く出来た奥さんと可愛い娘との暮らしを守ろうという男のエゴはあるけれど、逮捕後裁判までの間に、次から次へと尋問され、いやむしろ誘導されて、トニーは憔悴していく。どこかで踏み間違えてしまった道を、後悔するとかは嘆くとかではなく、無表情に醒めていくトニー。読んでいるこっちさえ、もしかしたら本当は彼による犯罪だったなんていう結末が用意されているのかと疑ったりもした。

フランスの陪審員制度は、容疑者に不利は状況証拠が重なると、容疑者の無罪を立証することは困難になる。そんなフランス陪審員制度にシムノンは否定的で、そこを鋭くついた作品らしい。そうなのかあ・・・ でもそれよりも、茫然自失で無気力になっていくトニーと、どこまでも激情的なアンドレが対照的。結局のところ本当の犯人が誰だったかは明かされないけれど、この本は謎解きものじゃなく、やはり心理描写の妙なんだろうな。最後に2人に無期懲役の判決が下った時、それはアンドレにとっては愛の勝利の瞬間だった、というのが何とも怖い。その叫びの言葉が 
「彼らはあたしたちを引き離せなかった!」

それにしてもこの副題はないよね、と読み終えたあと思う。粗筋もちょっと情欲を煽る陳腐な不倫ものみたいでいただけない。【シムノン本格小説選】なんだから。。。
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