Entries

バロック協奏曲

Alejo Carpentierは2冊目。最初は「この世の王国」。この『バロック協奏曲』は今は無き、そして今となっては何だかちょっと懐かしいサンリオ文庫。短篇が2篇であとがきを入れても140ページ足らずの薄い文庫本だけど、これでもちょっとした稀少本。色鮮やかでシュールな表紙は文庫本とは思えないくらいステキだなあ。
バロック協奏曲 アレッホ・カルペンティエール (1979年 サンリオSF文庫)
バロック協奏曲

『バロック協奏曲』
メキシコの成金鉱山主が従者を従えて、旧大陸はマドリッド詣に出かけるも幻滅し、だったらイタリアだあ!ということでベネチアに向かう。そこからが、支離滅裂で愉快な卑猥さが入り混じり、音も色もパンパン破裂して、ヘンデルとヴィヴァルディとスカルラッティ、揚句にはルイ・アームストロングまで登場して、教会の鐘の音も高らかにバロック協奏曲と相成るわけだ。メキシコ征服の史実を無視した出鱈目なオペラに文句をつけるメキシコ人に、こっちの方が面白いだの、どれもこれも舌を噛みそうな名前だから端折られた登場人物や、それじゃオペラのフィナーレには向かないな、あ~歴史、歴史とうるさく言わんでくれ、これは芝居だから詩的にならにゃいかんのだ、等々、ボケと突っ込みの応酬で、まあ、いっかみたいなノリで高らかなる協奏曲完成(?) しかし旧大陸は自分のいる場所じゃないと気付き、「未来こそ幻想なのだ」と言い残し、故郷へ帰ってゆく。実はこの作品は映画化されていた。1989年、スペイン・キューバ合作映画、その名も『BARROCO』(バロック) 気になる。。。

『選ばれた人々』
ノアの箱舟のパロディーと言うか、ラテンのノリでノアの箱舟をおちょくってしまったというか。。。
インディアンの長老アマリワクが、神のお告げを聞き船を作り、動物たちや一族郎党を引き連れて、洪水の中船を出す。だが同じような何隻もの船に出会い、その中の1つがノアの方舟(笑える)。どの船も俺が、俺がの元祖主張をしているようで、どれもなんだかなあ・・・な存在。種族の数だけ神がいたんじゃ、世界は平和になんかならない。あ~~時間の無駄だったと、長老アマリワク、神聖なる航海を投げ出しちまう。

Alejo Carpentierの本は物理的には短いくせに、なんだかなが~く感じる。読みにくいとか疲れるという意味の長さではなく、すっごく濃い。世間的には『バロック協奏曲』がマニア絶賛のCarpentier作品らしく、確かに音楽好きにはそれは納得できるのだけれど、私はノアの箱舟をケッ!と往なしてしまった『選ばれた人々』がやたら気に入った。

2篇ともかなり傑作。古本カフェのお兄さん、とっておいてくれてありがとう。面白かったよ!
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/243-ffe6b91b

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 78
9 10 11 12 13 1415
16 17 18 19 20 2122
23 24 25 26 27 2829
30 31 - - - - -

全記事

フリーエリア

フリーエリア