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Lost Light

あっちこっちの本を数ページ齧っては投げ、齧っては投げ、ラクして読みたい時は結局ここに納まる (休憩本というより逃げ本と呼んでしまいそう・・・)
Lost Light (Harry Bosch)Lost Light (Harry Bosch)
(2004/03/01)
Michael Connelly

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前巻でLAPDをやめてしまったBosch。家のローンも終わっているし、年金ももらえて生活に困ることはないのに、満たされない心が過去の未解決事件に向かう。1巻から律儀に読んできた私だって、思わず、もういいでしょ!と言ってしまいそうになる(あ~私が同じ境遇だったらのんべんだらりと暮らすだろうに)。バッジをはずしてまで過去の事件に固執するなら、警察に残ればよかったじゃないと思うけど、アンタはバッジがあろうがなかろうが、人の死を背負わずにはいられないんだ。気持ちはわかるようなわからないような、でも8巻も読んでいればもうその点にはいちいち反論しない。

過去の事件とは、映画会社で働く女性が殺された事件。現場に駆けつけたBoschは、その死体が何かを指し示そうとしている手の記憶が今でも脳裏に焼きついている。いつものチームで捜査を開始するが、その殺人事件のすぐ後に、映画撮影用に調達した本物の紙幣が強奪され、発砲事件にまで発展する。そしてBoschたちは担当替えを命じられた。そこにはドス黒い政治的思惑が見え隠れする。後を引きついたコンビも一人は死に、一人は半身不随状態。そして捜査は事実上凍結された。私立探偵として捜査を洗い直し始めたBoschは(クライアントなしでも探偵するんだ)、元同僚には首を突っ込むなと釘をさされ、FBIに拘留され、背後には政治的な圧力、それも9.11を契機として強化されたFBI内のテロ対策部隊が登場するまでに事件は発展する。

この本はシリーズで初めて1人称で語られている、つまり語り手はBosch本人。作者の意図としてはより彼の内面を描きたかったのかも知れないけれど、3人称と1人称でこんなにも違うのかと驚いた。出だしは何だか暗くて怖い・・・ これがBoschの心の底だとしたら覗きたくなんてなかったよ。しかも今回はあの運命の女性、Eleanorが久しぶりに登場する。テロ組織まで登場させるほど事件のスケールがでかくなっていて驚くけれど、同時にEleanorとBoschの関係まで絡めてしまったテンコ盛りの1冊。この縦横両軸の展開は見事。このシリーズ、回を重ねる毎にマンネリ化するどころかパワーアップしているのは凄い。

今回のオチは、悔しいけれど完全にやられた、というかオチが二度来たというか・・・ 半身不随にされた被害者であるはずの元刑事、Lawton Crossの正体に、Boschに冷たくあたる彼の妻Dannyの真の姿に、FBI捜査官だけれどBoschの側につき、恋人を失ったRoy Lindell。それからHarryの娘だよ。。。 悔しいから言うわけじゃないけれど、久しぶりに登場したEleanorとの関係をどー落とし前つけるのかが気になり、テロも真犯人も途中からどうでもよくなりかけていたのに、実際一番泣けたのは、最後の幸せなBoschではなく、Roy LindellがBoschと共に自ら恋人の死体を探し出し、一人肩を震わせて泣くシーン。そのすぐ後に、Eleanorのいるラスベガスに向かい、娘の存在を知り自分のLost Lightを見つけるBosch。それじゃあ、Royがあまりに可哀想じゃないか・・・ それにLawtonとDanny夫婦は今後穏やかに暮らせるのか・・・ シリーズ至上最高の名脇役候補に挙げていもいいほどRoyとDannyの存在は大きい(あ、あと今回は欠席したけどIrvin Irvingももちろん候補者)。

Harry Boschシリーズは最初から順番に読むのがいいと実感できるこの巻。ここから始めて過去に遡ったら、すべてがネタバレになっちゃうよね。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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