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猫とともに去りぬ

光文社の古典新訳文庫は、亀山郁夫訳の「カラマーゾフの兄弟」の新訳が話題になったけれど、”古典新訳” という言葉にどことなく縁遠いものを感じて敬遠したまま。ところが古本カフェのお兄さんが、「ブラス・クーバスの死後の回想」 なんてーのも出版されてるんですよ、と聞かされ 「ブラス・クーバスの死後の回想」を買うつもりが、代わりに何故だかこれを買ってしまった。Gianni Rodari、名前だけは聞いたことがあったけれど、イタリアを代表する児童文学作家で教育者でもある。
猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)
(2006/09/07)
ジャンニ ロダーリ

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短篇集だけれど、タイトルからしてホレ、この調子! 翻訳者、関口英子さんも楽しんで翻訳したんだろうと勝手に確信するほど楽しくて上手い (”思い立ったが吉日” なんて翻訳は相当遊んで訳したと思うけど・・・・)
・ 猫とともに去りぬ
・ 社長と会計係 あるいは 自動車とバイオリンと路面電車
・ チヴィタヴェッキアの郵便配達人
・ ヴェネツィアを救え あるいは 魚になるのがいちばんだ
・ 恋するバイカー
・ ピアノ・ビルと消えたかかし
・ ガリバルディ橋の釣り人
・ 箱入りの世界
・ ヴィーナスグリーンの瞳のミス・スペースユニバース
・ お喋り人形
・ ヴェネツィアの謎 あるいは ハトがオレンジジュースを嫌いなわけ
・ マンブレッティ社長ご自慢の庭
・ カルちゃん、カルロ、カルちゃん あるいは 赤ん坊の悪い癖を矯正するには……
・ ピサの斜塔をめぐるおかしな出来事
・ ベファーナ論
・ 三人の女神が紡ぐのは、誰の糸?

現代社会へのアイロニーだの、知的ユーモアだの、イタリアの代表選手だけあって評判はとても高いけれど、そんなことはさておき、とにかく可笑しい。声を出してゲラゲラ笑っちゃうイタリア版コントだわん! こんなに自由に好き勝手に、自然の摂理も物理的法則も無視して ”お話し” は作っちゃってもいいんだと眼から鱗が落ちる思い。猫になっちゃうお爺ちゃんに、ベネチアが水没するから魚になっちゃう一家に、せっかちで急いで配達をしていたら、昨日に戻っちゃう郵便配達人、その他諸々。。。 悪者も登場するけれど、それは権力者だったり、鼻持ちならない金持ちだったり、そして普通の庶民や子供が見事にそいつらをやっつけちゃうのは爽快。やっつけ方にも残酷性はなくて、”お仕置き”風なのが何とも心穏やかでいられる。

2つや3つ、大笑いしたところでも書いておこうと思ったけれど、どこもかしこも可笑しかったので覚え切れなかったよ。。。 アイロニーも知的なんとかも、言われなければきっと私は気付かなかった(笑) そんな大きなお世話の解説や能書きはないほうがいいんじゃないかと、私は思うけど?そんなものが透けて見えたら、道徳臭くて、胡散臭くて、説教臭くなる。

Gianni Rodariのお父さんはパン焼き職人で、嵐の中子猫を助けるためにずぶ濡れになり、肺炎をおこして、Rodariが9歳の時に亡くなった。可笑しな可笑しなこの本の中で、唯一悲しいのはこのエピソード。彼の話に多くの猫が登場するのは、お父さんっ子だった彼の深い想い入れがあるからだそう(泣)
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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