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ユリイカ2012年6月号 特集=アントニオ・タブッキ

まさか自分がこんな文芸雑誌を買うとは夢にも思っていなかったけれど、Amazonがひょいと「おすすめ」に挙げてきたので、私も手を挙げ返した。青土社と言えばユリイカ、でも私にとっての青土社はTabucchiで、ここから出版されたTabucchiの本は装丁が美しくて好き。表紙のTabucchiの写真はよく使われるものだけれど、チャーミングでこれまた好き。追悼特集なのが哀しいけれど、青土社だからこそ彼の追悼特集が出来るんだろう。
ユリイカ2012年6月号 特集=アントニオ・タブッキユリイカ2012年6月号 特集=アントニオ・タブッキ
(2012/05/28)
和田忠彦、堀江敏幸 他

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● 未邦訳短篇アンソロジーが6篇
It's getting later all the timeからの作品は英語版を改めて日本語で読めたし、2011年に発表された「Racconti con figure」は英語版さえでていないものだったから、嬉しかった。
● 対談:堀江敏幸x和田忠彦
Tabucchi本人とも交流があった翻訳家の和田忠彦氏の語るTabucchiのエピソードや、須賀敦子さんとTabucchiのことなど、途中からうるうるしてきそうだった。

その他様々な人たちがTabucchiと彼の作品を語る。250ページ弱の薄さながら、2段組で文字がびっしり、特集といってもほぼ全篇Tabucchiの特集で、かなり読みごたえがあり、どっぷり浸かれる1冊。Tabucchiは邦訳、邦訳が尽きたら英語版と読める言語でひたすら追いかけ、それでもまだどちらでも発刊されていない作品がある。復刊を望む声もわかるし、この未発売本も早くどうにかして欲しいと切に願うばかり。

私はそもそも評論とか読もうなどと毛頭考えない。今回もどっぷりと浸ったけれど、でもやっぱり一番良かったのは、アンソロジーの6篇。蘊蓄も解説もやっぱり途中からどうでもよくなってくる。多くを語らない彼の作品の裏を語ってくれるのはある意味有難いのかも知れないけれど、裏も表もなく、正しい読み方もなく、彼が表したものをひたすら読むことしかないんだろうな、とそれが読了後の感想。そんな中で唯一、両手を叩いてしまったのが、大竹昭子さんの一文。「インド夜想曲」を息を詰めて読んだ、けれどどんな内容だったか全く憶えていないと言ったあと。。。

実は筋を忘れるのはよくあることで、たいがいの本が面白かったという記憶だけを残して中身は去っていく。筋はいつだって逃げ足が早い。しかし、タブッキのものがとくにそうなりがちなのは、筋があるようでないからではないか。というより、読んでいるうちに筋などどうでもいいという気持ちにさせられるのではないか。あのとき私を捉えたのは筋を放棄する快感だったような気がしてならない。

こんな所に同意していていいのかと反省はするものの、実は私も本当に見事に忘れている。それでも好きな作家と言われたら、それは間違いなくTabucchiなのである。次から次へと仕入れてしまう新しい本に追われ、再読もままならないけれど、2度では足りずきっと何度も読んで、何度も忘れる。そんな風にして一生抱えていくつもり。でもやっぱり早く逝き過ぎだよ・・・ 
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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