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The Narrows

あら、見事に「The Poet」の続篇。これはやっぱり「The Poet」を読んでおかないと話しが盛り上がらない。Boscheより先にRachelが登場し、あのThe Poetが再び現れたと宣告される。そして「A Darkness More Than Night」で競演した元EBIのTerry McCalebが亡き者になったところから話しは始まる(この出だしはかなりショッキング)。彼もThe Poetの被害者なのだろうか?という振りからBoschを捜査に巻き込み、豪華キャスティングで堂々とスタート。
The Narrows (Harry Bosch)The Narrows (Harry Bosch)
(2012/01/01)
Michael Connelly

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Terryの死に不審を感じた彼の奥さんGracielaから(私立探偵の)Harryに調査依頼が来る。一方、The Poetが元上司というRachelは、前回の事件が原因で左遷されていたが、FBIにThe Poetをおびき寄せるための餌(Bait)として利用されるべく、捜査に参加する。同僚のFBIメンバーからは見下されたような不等な扱いを受けながらも、彼女のThe Poet逮捕に対する執着心と、Boshの相変わらずの正義感 + 死んだTerryに対する友情から、2人はタッグを組むことになる。このペアは、9.11以降、更にエスカレートした官僚組織の権化みたいなFBIのエリート達には面白いはずもないが、そんなことに怯む2人じゃない。犯人が誰かという謎解きはないけれど、まるで「羊たちの沈黙」のレクター博士を思わせるような極めて知的、かつ冷酷な異常殺人鬼The Poet=Robert Backusの無気味さが面白い。彼はほとんど登場しないのだけれど、2人の行く先々に常に痕跡を散りばめ、自らの手中に誘導し、影の中で2人をあざ笑う。知的な犯罪者って小説の中ではやっぱり魅力的だわん。前巻で突然現れたBoschの娘も当然登場し、娘をどうしようもなく大切に思う父親としてのBoschまでおまけに付けて、今回は大判振る舞いのオールスターキャストで豪華絢爛。

そう云えば、「Lost Light」から3人称ではなくBosch自身の1人称語りになったこのシリーズ。今回は両方が混在する。Bosch登場の場面では、Boschが語り、彼がいない場面では3人称で語る。更にクライマックスで暴風雨の中をサバイブするシーンでは、1章の中で小刻みにパラグラフを分けながら両者が代わる代わる転回する。このシーンは忙かった・・・

お決まりのオチはというと、Terryの死因は自殺だということ。移殖した心臓がトラブルを起こし家族に知られぬようこっそりと診察を受けていたTerry。仮にもう一度移殖して生き延びたとしても、年金と補助だけで暮らしている家族にとってそれは途方もない負担になる。彼自身による事故に見せかけた自殺。それに気付いたのがBoschだけというのが泣けてくる。娘が大好きな絵本の主人公の名前を借り、偽名で診察を受けていたTerry。擦り切れてボロボロになったその絵本は、Boschの娘が大好きな絵本と同じものだった・・・ っていうのは、ちょっとセンチメンタル過ぎるけれど、それは許すとしよう。

さて 「Everybody counts or nobody counts」という名言と共に、BoschはLAPDに戻る決意をする(結局そういうことじゃない・・・)。バッジがないことの意味を充分理解した上で、そしてバッジがあろうがなかろうが、自分の出来ることは、やるべきことは1つだけ、それは今回BoschのサイレントパートナーとなったTerryも同じだったはず (あ~~カッコ良過ぎて復職後が心配だわ・・)
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コメント

[C277] あれ!

そういう最後だったんだっけ?

もう一度愉しみました!
  • 2012-07-25 00:36
  • さかい@tadoku.org
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[C278] 私、創作しているかも?

と、突然不安になってきた。勝手に読みながら自分で話しを作り上げてしまう・・・ ということは(たぶん)時々しているかも知れない(汗)

Terryの死因は自殺だということ。⇒ これは合っている。でもあくまでBoschがそう判断したということ。

移殖した心臓がトラブルを起こし家族に知られぬようこっそりと診察を受けていたTerry。仮にもう一度移殖して生き延びたとしても、年金と補助だけで暮らしている家族にとってそれは途方もない負担になる。⇒ これも合っている(はず)

彼自身による事故に見せかけた自殺。⇒ たぶんそうだったはず(?) 薬を摩り替えたのはterry自身

それに気付いたのがBoschだけというのが泣けてくる。⇒ 事件決着後、Rachelに告げる場面の中で話しているからたぶんそう。

娘が大好きな絵本の主人公の名前を借り、偽名で診察を受けていたTerry。擦り切れてボロボロになったその絵本は、Boschの娘が大好きな絵本と同じものだった・・・  ⇒ これは合っている

う~~ん、だいたい合ってますね・・・
  • 2012-07-25 00:59
  • Green
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  • 編集

[C281]

合っているかどうか・・・思い出せない
  • 2012-07-31 23:36
  • さかい@tadoku.org
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[C284] あっていることにした!

自分ではガッテンしているので、合っていても間違っていても、どっちでもいいや。

今さら思う・・・ このとっても魅力的な殺人鬼、The Poetは第2の主役かと勝手に決めていたけれど、暗い子供時代のことがさらりと触れられているだけで、結局動機ってどこかで解明されたんだっけ? 第2の主役はよく考えたら、一度も本人は登場しなかったけど、Terryじゃない。
  • 2012-08-01 00:05
  • Green
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  • 編集

[C287]

なんのことでしょ?
  • 2012-08-02 22:36
  • さかい@tadoku.org
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