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どうして僕はこんなところに

「Utz」 や 「The Viceroy of Ouidah」 や 「パタゴニア」 を読んで、わかろうとわからなかろうと、やっぱり好きなBruce Chatwin。原題は「What am I doing here」。Chatwinが自らの死期を悟り、自らの文章をまとめ編集し、彼の死の年1989年に出版された、つまりは彼の遺書である。だから読みながらずっと考えてしまった。What am I doing here ってどういう意味なんだろう?
どうして僕はこんなところにどうして僕はこんなところに
(1999/09)
ブルース チャトウィン

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あ~~、とにかく面白かった。何が面白いのかよく分からないところが、また凄い。途轍もない情報量を盛り込んで、それが全く鬱陶しくなく、引き込まれるのがよくわからない。これは何度も読むべき本なんだろうなあ。見知らぬ土地を躊躇なく訪れ、自分の足で立ち、偏見や先入観に惑わされず自分の目で眺める。凄まじいほどのエネルギーを発しているにも関わらず、文章は極めて硬質でクリア、でもとても豊潤。彼の人生はノマド(遊牧民)であることと、書くこと、それで全てだったんだろう。

Chatwinによれば、人間の本質は移動を必要としているという。人は定住を強いられることに本能的に反抗する。遊牧民は不信心であると云われるらしいが、”移動することそのものが彼らの儀式、「神聖なる」カタルシス” であるから、宗教儀式や信仰の表明を必要としない。”人間の本当の住処は家ではなく道であり、人生とは自分の足で歩くべき旅路だ” と考えるエベレスト地域のシェルパ達。

エッセイなのか物語なのか、旅行記なのか・・・ 今まで出会った人々、訪れた場所、南米からアフリカから、中国の辺境地から、ネパールにインド、中央アジアにオーストラリア、さらにはロシアまで、そして芸術から歴史から政治まで・・・ ただ、最後まで読み通すと結局Chatwinが見てきたものは、そこに暮らす人々以外の何ものでもないのだと気付く。俗な言い方をすれば、正統派異端児のChatwinが、同じような世界中のそんな正統派異端児たちを探し、関わり、礼賛してきた自身の人生の総括本。そして最後の最後まで、What am I doing hereがわからない。でも邦題「どうして僕はこんなところに」はやっぱりやや違和感がある。ただただ遊牧民であり続けることを望んだ彼が、これ以上歩くことが出来ないと悟り、この本を書き残すことが全てになった果てについたタイトルのはず。だったら何なんだ?

Chatwinの文章は易しくはない、だから英語で読んだり日本語で読んだり、でも次に読まなきゃいけない本は決まっている。オーストラリアのアボリジニを題材に書いた「Songlines」。彼の代表作でもある。わかってもわからなくても、これは英語にするのが正当なんだろう (結果、撃沈しようが。。。)
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