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怪盗ゴダールの冒険

怪盗ルパンしか知らなかった頃は、大泥棒の延長でしかなかったけれど、「怪盗ジゴマ」 に出会ってから、”怪盗”と聞くと思わず振り向く。今でもミステリー本と言われてもそれほど触手は動かないけれど、”怪盗”が登場するとなると話しは別。ミステリー本に括らないで、是非「怪盗」本として独立させて欲しい。
怪盗ゴダールの冒険 (ミステリーの本棚)怪盗ゴダールの冒険 (ミステリーの本棚)
(2001/03)
フレデリック・アーヴィング アンダースン

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Frederick Irving Andersonは1877年アメリカ生まれの作家でジャーナリスト。ジャーナリストから作家に転身した後、一流紙に中短篇を発表する人気作家となる。怪盗ゴダール以外のユニークなキャクターも創設し、あのエラリー・クインもお気に入りだった作家らしい。

〈百発百中のゴダール〉は素晴らしい泥棒だ。その偉大な頭脳はすべての可能性を予測し、あらゆる不可能を可能にする。水も漏らさぬ包囲網も難攻不落の金庫も、彼の行く手を阻めはしない。あるときは侵入不能の大邸宅から神秘の宝石を盗み出し、あるときは最新の防犯システムを破壊してウォール街一帯を大混乱に陥れ、またあるときは、合衆国貨幣検質所からタンク一杯の黄金を奪取する。その華麗にして大胆な手口は、まさにひとつの芸術だ。20世紀初め、世界の首都ニューヨークに君臨した怪盗紳士ゴダールの痛快きわまる冒険談、全6篇を収録。
「百発百中のゴダール」
「目隠し遊び」
「千人の盗賊の夜」
「隠された旋律」
「五本目の管」
「スター総出演」

20世紀初頭、第一次大戦前の活況を呈している大都会New Yorkが舞台。アメリカがまだ急成長中の新興国で、その時代の街の描写が面白い。ウォール街の証券取引所で過去の遺物のような辻馬車の脇を自動車が走り去っていく。グランドセントラル駅は建設中、成り上がり達が社交クラブを仕切る一方で、五番街には上流階級の屋敷が並ぶ。かと思えば移民が住む貧民街や、ビル建設の労働者、深夜勤務の巡査などありとあらゆる人種と階級がごった混ぜ。
怪盗ゴダールは全篇フル出場ということではなく、ひっぱってひっぱってようやく登場という篇も多い。トリックは一見不可能に見えるが種を明かされれば意外に科学的。怪盗とはいえ紳士のゴダールは、”百発百中”の完全無欠さで、お洒落でスマート。強烈な個性的キャラで売る怪盗の冒険というよりは、やっぱりトリックと構成の面白さの方が光るかな。

「怪盗」の面白さは「探偵」の面白さとはちょっと違う。探偵が謎解きを基本に据えているのに対して、怪盗は盗む過程が面白いわけで、まず事件が起きるところから始まる探偵ものと違い、怪盗はお目当てが何かが決まったら、不可能を可能にしてそれをいただく過程が、権威の裏をかくような小気味よさ。結局、警察とか探偵との知恵比べの果てに悪党側が勝利するわけで、庶民としちゃあ気持ちがいい。しかも小金欲しさのコソ泥と違い、「怪盗」と名乗るからには、盗む物にも盗む過程にも美学のようなものがあって、筋の通った気持ちいい正義感さえあったりして、何だか爽快な気分になれる。
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