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無口になったアン夫人

私の目に狂いがなければ、この表紙の夫人には首から上がない・・・あ~恐い。サキは恐い。

サキ―無口になったアン夫人 (バベルの図書館)
サキショートストーリーの名手というのは、あのヒトやあのヒトや名前が浮んでくるけれど、ショートショートといったらそれはSaki以外には考えられない。

「無口になったアン夫人」
「お話の上手な男」
「納戸部屋」
「ゲイブリエル-アーネスト」
「トーバモリー」
「名画の額ぶち」
「非安静療法」
「やすらぎの里モーズル・バートン」
「ウズラの餌」
「あけたままの窓」
「スレドニ・ヴァシュター」
「邪魔立てするもの」

お楽しみのボルヘスによる序文の中で、サキ(本名:Hector Hugh Munro)の生涯について紹介されている。ビルマ(今のミャンマー)で生まれ、イギリスでは両親の元から遠く離され、二人の厳格な伯母たちに厳しく監視されながら育った。この保護者の伯母たちは ”公平にみて嫌な人たち” だったそうで、しかも動物が大嫌いだったとか。・・・という子供時代を知ると、なるほど、Sakiのストーリーの中では、伯母は恐怖の存在で、憎むべき相手、子供は狂暴で残酷、動物はかなり重要な位置を占める存在、というのは納得できる。納得はできるけど、単にそれをネタとして特異な作風を書いたのか、それとも子供時代の復讐をしなければならないほど、辛い人生だったのか・・・ と考えると更に恐くなってくる。

残酷で恐くて、あっ! とか えっ! と思わず叫びそうになる結末は、ショートショートだとわかっていても青天の霹靂のような終わり方。ストーリーが大概何ということもない日常から始まるからこそ、その青天の霹靂との落差が凄まじい。でも、確かに残酷な結末ばかりだけど後味は悪くなく、気品もあり、何故かスッキリとするのは、嫌な伯母さんがやっつけられて終わるからだけでなく、きっと人間が心の奥に多かれ少なかれ持っている残酷性や、意地悪さを刺激するからなのかも知れない。私はそんな意地悪さを持っているんだろうなあ、だからサキは面白いと思ってしまう。
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[C303] 実は・・・

ロンドンのDaunt Books で買った本がSakiの短編集。例の70代後半の女性がダールの本を全部読んでしまったので、お祝いに、というか、次は誰を読めばいいですか?と尋ねられたので、購入。店員の中年男性にいきさつを話して推薦してもらったもの。
  • 2012-08-22 13:25
  • さかい@tadoku.org
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[C305] 思い出した・・・

ウチにもあった!Penguin の「The complete SAKI」(本当にCompleteなんだろうか?)

字が小さい、余白が少ない、というのもあったけど、紙がすごく薄くて944ページもあって、嫌になって投げたままだった。本棚から探し出して、自分の犯した失敗に今気付きました。最初から読もうとしたことだ!一話が2ページ程度なんだから、拾読みして完読しようなんて考えなければいいんだ。。。




  • 2012-08-22 22:46
  • Green
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Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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