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ペドロ・パラモ

古本カフェのお兄さんのご推薦。Juan Rulfoはメキシコの作家。生涯2冊の本しか残さなかったにも関わらず、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」と双璧をなすラテンアメリカの代表的な作品と云われているらしい。なのに流通部数の少なさといったらない。この岩波の文庫は定価¥600のくせに、Amazonに行ったら、¥2600もの値が付いている。ちなみに私は¥500で売ってもらえた(感謝!) ラテンアメリカ文学に興味があるなら、これを読んで ”わけわかんない、でも何だか凄い” と思えたらその先に進むべし。少なくとも、「百年の孤独」からラテン文学に入ると挫折する確立が高くなる(と私は思う)。
ペドロ・パラモ (岩波文庫)ペドロ・パラモ (岩波文庫)
(1992/10/16)
フアン・ルルフォ

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表紙からそのまま。。(この本の粗筋は私にゃ書けない)
ペドロ・パラモという名の、顔も知らぬ父親を探して「おれ」はコマラに辿りつく。しかしそこは、ひそかなささめきに包まれた死者ばかりの町だった……。生者と死者が混交し、現在と過去が交錯する前衛的な手法によって紛れもないメキシコの現実を描き出し、ラテンアメリカ文学ブームの先駆けとなった古典的名作。

1回読んで、解説を読んで、即座に続けてセカンドラウンドに突入した。それでも分からないところは分からない。でもそれはどうでもいい。ラテンの極みと言っていいほど、とにかく凄かった。時間の交差、死者と生者の交差(誰が生きていて、誰が死んでいるのかわからないが、結局みんな死んでいるのか?)。幽霊も出てこないし、魔術使いもいないけれど、メキシコの荒果てた貧しく乾いた大地に頭がクラクラする。70もの断片の集まりのこの本は、死者の町コマラに住む、死者の記憶の集まりのようだった。

「不幸の臭いが漂っている町があるもんだ。古びたものにまといつく、あのやせ衰えた貧しげな臭い、淀んだかび臭い空気をちょっと嗅ぎさえすりゃ見分けられるんだ。」

メキシコ革命時代の悲惨で残酷な時代背景の中で、女たらしで極悪非道、コマラ一帯を支配するペドロ・パラモの人生とその周辺の人々の物語。そんなペドロ・パラモが、力ずくで手に入れ最後の妻となったスサナだけは、本当の意味で彼が手にすることが出来なかったものの一つ。スサナを想い、叫ぶペドロの言葉は悪人ながら心が痛くなるほど。過去のコマラを回想する死者たちは、青々とした畑や、緑の丘や、密の匂いをノスタルジックに語る。だが、ペドロ・パラモという名、ペドロ=石 パラモ=荒地 が意味するように、そこはやがて荒涼とした荒地に変貌し崩壊していく。ペドロ・パラモの崩壊の人生とだぶるわけだ。

Juan Rulfoがインタビューを受け自らの幼年時代をこう語ったそうだ。
「われわれの住んでいた土地は破壊しつくされ、父の一族は根絶やしにされた。父や母、それに父の兄弟、みんな殺されてしまった。それからというもの私は殺伐とした世界で生きることになったんだ。人間も自然もすっかり荒果ててしまった・・・」
幸せな人生を送った人間にはこんな本は絶対に書けないんだろうと思う。
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