気が付けば、というか、数えてみたら、この本でMichael Connellyも13冊目だった。毎回違うようで同じ(笑) 慣れるということは凄いことで、Michael Connellyを読む時だけは、余裕をかまして読める。お馴染みの常連メンバーはもちろん、今回初お目見えの人物だって、広い心で受容れてあげられるし、説明もないような警察内部の部署名の略語が分からなかろうと、もう今さらどうでもいい(ってな気分で読める)
やっぱりBoschは現役復帰してしまった。そしてBoschの一人称の語りも、かつての三人称に代わって再出発。かつての同僚Kizとコンビを組み、Open-Unsolved Unitと呼ばれる未解決事件を担当する部署に配属。そこでは17年前に起きた女子高校生の殺人事件が待っていた。パートナーKizとの相性はあまりにもピッタリでつまらないくらい(笑)。彼女はIT関係も抜群に強く(Boschはまかせっきり)、Boschが引退生活をしていた間も着々と実力をつけ、頼もしいパートナーになっている。登場するのは、かつて捜査にあたった刑事や、娘を失った後家庭が崩壊してしまった両親、母親はいまだ立ち直れずに娘の部屋を当時のままそっくり残し、父親は家を出てホームレスになっている。凶器の拳銃から見つかったDNAが合致した人物を追うことから捜査が始まるが、それが人種差別主義者たちのグループだったり、そしてそして、あのIrvin Irvingが久しぶりに登場し、嫌味たっぷりな ”復帰おめでとう”の言葉を送ったりと、このあたりはサービス精神たっぷり。
だと思ったら慣れてしまったせいなのか、なんだかBosch復帰第1回目としてかなり地味目で淡々とした流れ。犯人自体にあまり驚きもなく、最後のお決まりのどんでん返しも不発弾気味。殺害された高校生は、白人の母親と黒人の父親の娘で、人種差別主義者のあばれっぷりも絡ませておきながら、結果としては、かつての恋人が犯人。この黒人の父親が、ホームレスたちに食事を提供する食堂で働いているところを訪ねるシーンが今回一番悲しかった場面なのだけれど、このお父さんをもうちょっと掘り下げて欲しかったし、何より、あのIrvingが絡んだ警察内部の腐敗にまで及ばずに終わっちゃったところが、ちょっと物足りない。
さて、途中沢山出てきたJINGOという言葉。仕方なく調べてみたけれど、「好戦的愛国主義者」なんて云われて、意味が繋がらない。Boschファンというのは有難いもので、あるサイトで解説してくれていた。Part2 のタイトルにもなっているHigh Jingoとは;
「警察幹部による隠蔽や陰謀を表す警察内のスラング」あ~なるほど、ようやく霧が晴れた感じ。
復帰したのはいいけれど、Irvingが云うように、確かにもうBoschは若くないんだよね。現代的な科学捜査とか、コンピューターも駆使できないと捜査効率も落ちるし、昔ながらの勘と強い意志と粘り強さと正義感だけで大丈夫かなあ・・・と今後がちょっと心配。
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