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戦いの後の光景

偏見と云われれば偏見だけど、みすず書房の本は一瞬躊躇う。固そう、つまり難解そう、コスパがいまひとつ、つまりページ数の割りにお値段がいい。じゃ、どうして買ったんだっけ?と思い出そうとしても思い出せない。。。
戦いの後の光景戦いの後の光景
(1996/12)
フアン ゴイティソーロ

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こちらみすず書房のHPより。。。
ある朝、寝ぼけ眼で通りに出た住人は、店の看板ばかりか道路標識までが見慣れぬ文字に書き替わっているのに仰天した。町中の大騒ぎを尻目に部屋で爪をみがく謎の人物。その男は公園で少女に声をかけては変態写真を撮り、いやらしい投稿記事を集めている。事件はやがて思わぬ展開を……
アラビア語、トルコ語に満ちた移民地区のパリ、ポストコロニアルな、流れ者の、文盲のパリを舞台に、未来の混血都市の地図を描き出し、読む者をユートピアに向けて、フィクションと寓話に向けて開いてゆく、現代文学の快挙。


これはある種のぶっ飛び小説。いや、筋がありなめらかに繋がり、展開していくものが小説であるなら、あまりにもそこから大きく逸脱した断章の集まり。著者自ら 「つながりの悪い散らかり放題の物語」 というように、つながりが悪いことこの上ない。最初の印象は、バロウズに似てる・・・ (と思ったら、あとがきで訳者も思い浮かべたと言及している)。あのジャンキーでアナーキーなところがヨーロッパ版バロウズ。が、何かがちと違う。本の語り手が「われらの主人公」と呼ぶ何者かの沢山の断章が続くのだけれど、無理矢理引き引きづられ読まされる気分。ロリコンでマゾヒストのこの「われらの主人公」は、ヤクやセックスのような猥雑なものがあるかと思えば、思想を語り、都市論をぶちまけ、ポエムを読み、でも締めはユーモア(といっていいと思うけど)たっぷりに、下世話で猥褻なオチをつけてくれる。確かに笑ってしまうんだなあ。

でも、アナーキーと言い切るにはどうにもエネルギーに満ち溢れていて、よくわからない、というよりかなりわからない(翻訳のせい??)くせに、投げさせない。そして徐々にこの「われらが主人公」には顔がないことに気付く。これは虚構の存在なのか?? そして望みもしなかったのに、筆者と「われらの主人公」に巻き込まれるように、自分もこの混沌とした未来都市というデストピアに身を置いているような(いや~~な)気分にさせれる。こんな本はそうそうないだろうなあ。まさに”現代”の作品。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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