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Swimming Home

こちら今年のブッカー賞のショートリストに残った作品だそうで、だから選んだわけじゃなく、以前読んだ「Down the Rabbit Hole」という本が面白くて、それを出版した「And Other Stories」なる出版社のサイトを見ていたら見つけた (ショートリストはおまけ)。
Swimming HomeSwimming Home
(2012/10/16)
Deborah Levy

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ブッカー賞は去年賞をとった「The Sense of an Ending」を読んで若干不完全燃焼だったけれど、くどくなく、Tightで(実際ページ数は少ない)、詩的で文章は美しく、人間の内面を明ら様ではなく意味深(Profoundって云えばいいのか)に描く本がブッカー賞は好きなのかしらん?と思うくらい、な~~んとなくタイプは似ている。

1994年、舞台はニース近くのヴィラ。イギリスからバカンスに来た家族、父は有名な詩人のJoe、 戦場ジャーナリストの妻Isabel、そして娘のNina。友人夫婦のLauraとMitchell。そのヴィラのプールで見知らぬ若い女性が裸で泳いでいた・・・というキャッチーな出だし。女性の名はKitty Finch。この奇抜な行動に象徴されるように、Kittyは何やら精神的に不安定な感じで、いったい何者?という興味で出だしは快調。夫と上手くいっていない(風)の妻のIsabelは、なぜか空き部屋を提供してKittyをヴィラに滞在させてしまう。KittyはJoeにしきりに自分の詩を読んでくれと頼む。実はKittyはJoeに接近するために、意図的にヴィラに来たのだということがその後見えてくる。そのエキセントリックなKittyに惹かれる14歳の娘Nina。脇役の友人の存在感が登場回数が多い割には不明瞭。時折登場する精神科医の老女とKittyの確執はミステリアスで面白い。

Joeの抱える葛藤がナチスのホロコーストに起因するというオチはあっさりと語られるだけで、ホロコーストよりも葛藤それ自体が実は核心なんだろう。戦場ジャーナリストの強い女性Isabelの葛藤、両親のぎこちなさに挟まれたNinaの葛藤。最後は2011年のロンドンでその後のNinaが静かに語る(しかしこれまたProfound)。この エンディングは嫌いじゃない。登場人物のキャラクターは小出しで見えてくる、いや小出しというよりひだの奥に隠れているから、感じてください・・・とでもいうようなスタイルなので、そこが読み解けないとストーリーと顛末自体はある意味古典的なので謎解きだけだと物足りないかも知れない。ま、読み解き切れなかった私の力量さておき、Swimming HomeというのはKittyの書いた詩のタイトルで、ITS RAINING というフレーズがキーワードのように使われるあたりは、このDeborah Levyさん、そういう構成とか繊細な描写の織り交ぜ方なんかは上手い (ちなみにこの雨は心に降る雨なのよ・・・)

読んではいないけれど、またもやHilary Mantelの「Bring Up The Bodies」がショートリストに残っているそうで、今となっちゃあ、こっちの方が気になる。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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