FC2ブログ

Entries

グノーシスの薔薇

この帯は完全にウソ(笑)。そのウソにつられた私のような愚か者は沢山いそう。「薔薇の名前」の荘厳さは間違ってもないし、「ダ・ヴィンチ・コード」ほどのプロットの組み立てもない。エログロを超えて、スカトロも混じり、個々のエピソードのオチがすべて変態趣向でまとまるから、興醒めというより笑えてくる。
グノーシスの薔薇グノーシスの薔薇
(2004/12)
デヴィッド マドセン

商品詳細を見る
って、さんざ貶しておきながら、人間というものは(私か・・・)残酷で悪趣味なもので、ページはどんどんめくれてしまう。

舞台は16世紀始め、ルネッサンスの熟爛期。ローマの貧民街で生まれた小人のペッペは、骨の曲った醜い小人。母親にも憎まれ、悲惨な暮らしを送っていたが、ある日美しいラウラと出会い、彼女からグノーシス教の手ほどきを受ける。だがラウラは異端審問にかけられた末、火刑にされ、ラウラの父に救われたペッペは、メディチ枢機卿、後の教皇レオ10世の従者となる。このペッペの手記という形をとりながら、実在の人物も多々登場しながらのゴシックロマン(?!)小説。教皇レオ十世は実在の人物で、メディチ家出身。芸術を愛し、教科書にもでてくる悪名高い免罪符を乱発して、ルターに批判を受けた人物。中世カトリックの世界は陰謀や暗殺真っ盛りで、教皇はまともに自然死なんかしないような時代だったそう。

必要以上にエログロをことさら飾り立てて書き過ぎなければ、まあまあ面白いんだろうけど、やっぱりちょっとやり過ぎだよ。でも登場する教皇も枢機卿も異端審問官も、超有名な芸術家たち(ラファエロやダ・ヴィンチ等々)もあまりにも俗人(いや変態)として描かれていて、聖と俗、善と悪、美と醜、精神と肉体の境目の際どさ、時にそれらが逆転する所は、唯一この本で終始筋が通っていた点。醜くく貧民の出自である小人のペッペ、という視点は面白いし、教皇レオ10世は俗物ながらちょっと魅力的。でもプロット自体が陳腐だからか、ストーリーはツッコミどころ満載。しかも最後は、異教グノーシス教を弾圧しようとした愛するレオ10世を、自らの手で(涙ながらに!)ペッペが毒殺するとか、バチカンを去るペッペの元に突然、彼とラウラの娘が登場して、父と娘が涙、涙の初対面(演歌の世界か?)。

で、結局、どれも極められなかったのが敗因なんじゃないだろうか?エログロも、異端のグノーシス教も、中世ロマンも、残酷で悪趣味な人間性も、扱き下ろしまくった腐敗したカトリック教も。。。 ここまで書くと恐いもの見たさで、逆に読んでみようかと思ってもらえる(かも知れない)。
関連記事
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://besideabook.blog65.fc2.com/tb.php/327-18ea034e

トラックバック

コメント

[C350] たしかに・・・

買う気にはならないけれど、ちょっと見てみるか、という気にはなった。kindleでsampleが出てるかな?
  • 2012-12-17 18:29
  • さかい@多言語多読
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

Calendar

<
>
- - - - - - -
- - - 1 2 34
5 6 7 8 9 1011
12 13 14 15 16 1718
19 20 21 22 23 2425
26 27 28 29 30 31 -

全記事

フリーエリア

フリーエリア