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映画:イン・アメリカ/三つの小さな願いごと

今日もダレダレの一日を過ごし(それはそれでシアワセ)、昨日に引き続き映画の舞台はNew York、Manhattan。監督のジム・シェリダンはアカデミー賞を取った「My Left Foot」の監督。アイルランドから移住してくるこの家族の物語は彼の半自伝的作品らしい。
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(2012/03/16)
サマンサ・モートン、パディ・コンシダイン 他

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アイルランドからやってきた売れない俳優ジョニーと妻サラ、そして娘のクリスティとアリエルは、休暇と偽り、アメリカに入国し、マンハッタンはハーレム地域の麻薬と移民と貧困の巣窟のようなおんぼろアパートで暮らし始める。夫婦は息子フランキーの死からいまだ逃れられず、ジョニーはオーディションに落ちまくり、サラはアイスクリームパーラーで働き始める極貧暮らし。そしてサラが妊娠する。ハロウィーンの日、クリスティとアリエルはアパート中の部屋を叩いてTrick or Treatと叫ぶけれど、誰もドアを開けてくれない。たったひとり、黒人のアーティスト(?)マテオだけが二人に応えてくれる。妊娠したサラは母子とも危険な出産だと医師に告げられ、ぬぐいきれないフランキーの死という悲劇とだぶる。

部屋に閉じこもったままの見た目は恐いマテオが実は優しい人間で、子供たちと仲良くなり一家と交流を始め、エイズに冒されていた彼は、生まれた赤ん坊に命を引き継ぐように死んでいく(しかも実は金持ちで、保険にも加入していない夫婦には到底払いきれない出産費用まで代わりに支払って!)。映画のETを絡めながら ”僕はエイリアンで、違う星から来てまもなくお別れだよ” なんて云わせて、でもシラけないのは役者が巧いからか?

たぶん原題はIn Americaだけだから ”三つの小さな願いごと” という副題は大きなお世話よ・・・ クリスティとアリエル姉妹は本当の姉妹だそうで、とにかくやたら愛くるしい妹のアリエルが表に出て、話しはクリスティーの視点で語られるのに、彼女は雄弁には語らず、ただビデオカメラを回す。5歳で死んだ弟のフランキーが、死ぬ前に三つだけ願い事を叶えてくれると約束をした。三つの願いごと ー ひとつ目は入国の検問で、二つ目はET人形を取るゲームに父親が全財産を賭けたとき、そして三つ目は(たぶん)最後に家族がフランキーの悲劇を乗り越えるために。クリスティーは両親がフランキーの死を乗り越えられずに苦しんでいるのを痛いほど分かっていて、たった10歳のくせに、弟を失った自分の悲しみを決して両親の前では見せなかったのに、ようやく生まれた3人目の女の子が危篤状態で、両親が絶望しかかっていた時に、”私だって悲しかった。私が家族を支えてきたのよ”と父親に言い切る。感情を失くしかけていたお父さんに涙を流させ、フランキーにさよならを言わせる静かなお姉ちゃんのクリスティー、そして自分自身をもフランキーから開放させ、ビデオカメラに収められたフランキーの映像をピタッと閉じる10歳の娘の心情は、脚本に参加したシェリダン監督の実の娘の心情が投影されたのね・・・

泣きそうで泣かない映画。見終わった後にひどく感動したり、優しい気持ちになっちゃうとかはない(私の場合、それがかえっていいのかも知れない)。貧乏もの+可愛い子役というペナルティーはあるけれど、ハリウッド的でないヒューマンドラマで、空々しいハッピーエンドでないのはOK。ベリーショートヘアのまま、母親のサラを演じたサマンサ・モートンが始終寂しそうで、でも素敵でよかったなあ(子供に助演賞はやらないよ・・・)。
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コメント

[C352] なんというバランスのよさ!

・・・ってね、皮肉ではないよ。褒め言葉のつもり。

いいなあ・・・

ただ、あまりによく書けた評なので、見た気になってしまいそうなのが、玉に瑕? いや、瑕ではないな。探してみよう。
  • 2013-01-05 00:13
  • さかい@多言語多読
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[C353] あけましておめでとうございます

年始早々、5回くらい読んだけれど、コメントがよく理解出来ません(笑)

起きてさえいられれば、映画って2時間で1つのお話しが完結できるから、ダレダレ気分で本を読めないときには、サイコーだなあ。

  • 2013-01-05 10:22
  • Green
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  • 編集

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