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夢の城

古本カフェで鼻を利かせたつもりで何となく買ってみた。だって、この表紙、そして表紙裏の言葉。面白いと思っちゃうだろーに (つまり、久しぶりに大外ししてしまった)。
睡眠研究に携わる「私」がアンティークの家具のなかから、偶然みつけた不思議な日誌。そこには、近代科学が花開いた18世紀ヨーロッパで、「夢みる脳」の謎に取り憑かれたひとりの貴族の冒険が記されていた。物語はやがて時を越え、現代の沖縄へと流れ着く。脳生理学者の小説として、フランスでベストセラーになった話題作、いよいよ邦訳。
夢の城夢の城
(1997/07)
ミッシェル ジュヴェ

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その不思議な日誌とは、革命間近のフランスはリヨンの郊外の城に暮らすユーグ・ラ・セーヴという、夢の研究に取り憑かれた貴族が書いたもの。この城に住む貴族、最初は自分の夢の記録をとり始めるが、某有名学者に個人の夢の記録が論文になるかい!とこきおろされ、様々な対象を観察し始める。うさぎ、鶏、ネコから始まり、セックスのあとの女性の睡眠を観察したいがために愛人を利用し、若い男性を観察するため兵士を借用しゲイと間違われる。さらに無脳症の子どもや、シャム双生児や犬男(?)までその研究対象は及ぶ。夢の質量を図ろうと実験したり、夢を見ている男性とセックスをしている男女を銅線でつなぎ、オーガズムに達した時に火花を発生させるという実験をしてみたり(何のためだったんだっけ?)、脳から夢物質を取り出そうとしたり。。。働かずとも、好きなことだけして、お金の心配もしなくていいなんて羨ましいったらありゃしない。もっともその代償として、アカデミックな世界では変人扱いだし、夢研究なんて誰も認めちゃくれなし、奥さんは愛想をつかして実家に帰ってしまう。でもそんなことに全くめげない彼。

純粋さと純粋故の滑稽さとを計りに掛けて、どうも滑稽さが勝ってしまい、笑っていいやらいけないやら、動物実験の対象にされ、死んでいくうさぎにちょっと同情も覚えたりして。。。舞台は18世紀のフランスだけれど、その時代の匂いもあまりないんだよね。最後はイルカは夢を見るのか?という疑問を抑えきれず、台湾に向かうユーグ・ラ・セーヴ。200年の時を経て、「私」が西表島で出会うユーグ・ラ・セーヴとの遭遇だけが、あ~小説だねえ・・と思わせるところ。

著者のジュヴェは実際に世界的な脳生理学者で、翻訳をしたのは彼の研究室にいたという子弟?同僚?で、後の解説でもジュヴェ氏をただ手放しで絶賛の印象。ちっとは ”ブンガク” としてのこの本の解説をしてくれよ・・・と思ってしまう私が異端なのか?(でもこれでホントにフランスでベストセラーになったのか甚だ疑問)。そもそも学者のジュヴェ氏、60歳を過ぎて何故だか小説を書いてしまったらしい。膨大な巻末の訳注はぜ~~んぶすっ飛ばしてしまったものだから、彼の学者としての知名度やら業績やら、この本のアカデミックなバックグランドとか、実は夢研究入門書としての重要度とか、何にもわからんが、現代でさえ「夢」はまだまだ解明されていないから、興味がある方は(私だってないわけじゃなかったんだけど)どうぞ。
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