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エバ・ルーナのお話

去年読んだ 「エバ・ルーナ」 の主人公エバ・ルーナが作ったという設定の短編集。なんで本読んでるの?と問われたら、”現実逃避したいから” と即答できる私。Isabel Allendeほどその現実逃避を見事に達成させてくれる人はない。文字通り夢の中に連れて行ってくれる。夢の中はいつもHappy Endじゃないし、幸せばかりじゃないし、貧しさも哀しさもあるし、残酷さもあるし、悪人だって登場する。それなのに・・・である。表紙のアンリ・ルソーの絵のような太古の原始の世界で、焚き火を囲んで「おはなし」を聞いているような自分を想像してしまう。
エバ・ルーナのお話 (文学の冒険シリーズ)エバ・ルーナのお話 (文学の冒険シリーズ)
(1995/07)
イサベル アジェンデ

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そんな23篇の「おはなし」のつまったこの本。「エバ・ルーナ」にも登場した報道カメラマンのロルフ・カレルが、エバにおはなしを聞かせて、と頼む短い話しを冒頭に置き、最後は再びロルフ・カレルの話しで終わる。最初と最後は「千夜一夜物語」の一文を引用して締めくくる。気付き損ねそうなくらいのさりげなさが、巧い。。。23篇どれもが面白いというのも凄いし、Allendeは長篇小説作家かと思いきや、短篇を書かせても巧いという稀有な作家だった。

現代のシェヘラザードの本領発揮の作品集は、基本的には男女の愛のおはなし。ロマンティックでもベタベタしたところなんてこれっぽっちもなく、無垢な優しき主人公は決して幸福一杯の人生を歩むというわけでもないし、厳しい現実の中で生きているはずなのに、誰も彼もがまず逞しい。原始的なおおらかさ、現代の実社会に置き換えてしまうとむしろ悲惨な人生でさえあるのに、豊かで大らかで逞しい。勧善懲悪のような二極的な結末でもなく、極上の技巧派のくせして、小難しさとは反対側にいるシンプルな語りは、どちらかと言えば淡々としているし、ありがちなエンディングではなく、奇想天外と云えば奇想天外、予想外でありながら、でも決して煽り立てるようなショッキングな結末じゃあない。これはもう神話の世界だね。小説というカテゴリーには入れちゃあいけないのかも知れない。

愛を軸にしながらも、常に生と死も描かれる。神父様もカトリック教義も登場するけれど、この生死観はやっぱりこのアンリ・ルソーの描くジャングルに息づく原始の観念じゃないだろうか?生と死は両極にある相対するものじゃなくて、むしろ同質のものなのかと思えてくる。生もお祭り、死もお祭り。。。

至福の時間はあっという間に終わり、再び現実に戻されてしまった   もう一度読み始めてまた ”現実逃避” をしたくなる。
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[C388] あなたにいちばん

ぴったりの作家?

[C390] いちばんがたくさんいて・・・

これもいいけど、あれもいい。あっちもいいし、そっちもいい・・ってとこ。
  • 2013-02-24 20:10
  • Green
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