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マルタン君物語

ここで仕入れてしまったユーモア小説。ユーモア小説だと思ってかる~~い気持ちで読み始めたら、何だかちょっと違う。
マルタン君物語 (ちくま文庫) マルセル・エーメ
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「小説家のマルタン」
「おれは、くびになった」
「生徒のマルタン」
「死んでいる時間」
「女房を寝とられた二つの肉体」
「マルタンの魂」
「エヴァンジル通り」
「クリスマスの話」
「銅像」

9つの短篇集。ほとんどの話しがマルタンという名の主人公だけれど、同じ人物ではない。

「小説家のマルタン」では、マルタン君が願うわけではないのに、いつもいつも作中人物を殺してしまう。そんなわけで、作品の評価は全くもって芳しくなく、出版社からはこれ以上人が死ぬ小説には一文だってださない、と言われてしまう。その現在執筆中の作品は、役所の局長であるスービロンという男の話だが、71歳になる妻の母が整形して若返り、スービロンは日夜恋情に悩まされるという奇想天外さ。出版社に釘をさされたマルタン君は必死に、作中人物を殺さないように堪えているのだが、ある日突然スービロンの妻が現れ、ストーリーに文句を言い出す。

「生徒のマルタン」は劣等性のマルタン君。落書きの犯人にされてしまうが、可笑しいのは、生徒監や校長先生、マルタン君の担任の揚げ足取りのやりとりの方。

「死んでいる時間」は、一日おきにしか存在しないマルタン君の物語。夜中の12時になると突然消滅して、24時間後に再び現れるマルタン君。恋人ができたのだけれど、この奇妙な生態は二人の関係にギャップを生み出す。2年一緒にいる恋人と実際には1年しか生きていないマルタン君は、自分が消えている間の恋人の貞操に疑問を持ち始める

「銅像」に登場するマルタン君(君とはいえ老人)は、死んだと思われて生きているうちに銅像を建てられてしまった発明家。発明が好きで好きで家に篭って発明に没頭していたが、町の皆が銅像に敬意も興味も示さないことも不満を持ち始め、そのうちすっかり発明に興味を失い落ちぶれていくマルタン君。

ありふれた日常から始まるのに、この設定の奇抜さは見事、展開はあ~何だか、フランスと思わせる。そしてエンディングは何とも哀愁が漂う。凄いとか面白かったとかいう読後感があったわけではないんだけれど、マルセル・エーメは侮れないと思わせるものがある。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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