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魔法の書

「文学の冒険」シリーズをちゃんと発刊どおりに見てみよう!と国書刊行会のサイトにいってみたら、結構知らないものもあったりして、ポチポチと2~3冊買ってしまった(但し、アマゾンの古本で)。

魔法の書 (文学の冒険シリーズ) エンリケ アンデルソン=インベル
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だって、こんな解説を書かれたら、そりゃあ、ヨダレが出てしまう・・・
古本屋で見つけた一冊の本はキリスト生誕以来の歴史を物語る魔法の書物だった。けっして終わりまでたどりつけない不思議な本の物語「魔法の書」ミステリ狂の医者が自らの手で完全犯罪を成し遂げようとする。計画通りにすべてが運び、満ち足りた悦びに浸れるはずが…「将軍、見事な死体となる」民族学に興味を持つ中学校の歴史教師がインディオの村から持ち帰ったのは小さな小さな人間の首だった。それを契機に浮かびあがる夫婦の愛憎劇「ツァンツァ」そのほか、身体がどんどん軽くなっていく男の話「身軽なペドロ」天使を素手でつかまえようとする無謀な試みの行く末「天使をつかまえた手」人間のようになるために魔法を禁じた妖精の国の話「決定論者の妖精」など、ユニークなアイデアと洗練された語り口で読む者を魅了する作品集。

Enrique Anderson Imbert は1910年アルゼンチンのコルドバ生まれ。作家でもあるけれど、学者でもあり評論もこなし、アルゼンチンだけでなくアメリカの大学の教壇にも立ったことがあるらしい。ラ・プラタ幻想派を代表する短編作家と呼ばれているだけあってファンタジー調だけど、魔術的なラテンさはさほどなく、あっさりした読み心地。帯の言葉「夢の時間の奇妙な話」は言い得て妙だね。総じて奇妙な話しではあるけれど、読了後気付いてみると、法螺話調あり、ガウチョものあり、屁理屈談義あり、シナリオ形式あり、寓話風あり、シニカルなものまであり、知的で洗練された作品群。短篇の中には掌編と言っていいショートショートも多く、明快な起承転結のあるショートショートではなく、やっぱり「夢の時間の奇妙な話」なんだなあ。

決して終わりまでたどりつけない不思議な本の物語「魔法の書」がやっぱりダントツに面白い。アルファベットがスペースもカンマもなく、ただ羅列しているように見える書物を手に入れてしまった主人公。集中すると、その意味不明な文字たちが、突如意味をなしてくる(らしい)。でも途中で読むことを止めると、そこでまた意味不明な羅列になり、最初から読み直さなくてはならない。本自体は薄く、最後まで辿り着くが物語りは完了しておらず、また最初に戻ると、先程とは違う物語の続きが始まっている。これをどう想像すればいいのやら・・・
子供のころのラビノビッチは、本をぱたんと閉じると、活字たちはその場所から離れて入りまじり、本を開けると素早く列を組み直して、人間の目には、ふたたび整然とした姿を見せるのだという印象を抱いていた。ところが今は、逆の印象を与えられた。この本は、閉じているときには意味を持っているが、開くと文字たちは恐慌状態に陥り、いい加減な組み合わせで並ぶのではないか。

ヨダレもの。そんな文字たちが躍りまわる本があるなら、私も欲しいぞ。。。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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