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ポーランドの不条理作家・劇作家の短編集。1930年生まれ、1963年に亡命。ポーランドという国を知らないとわからない風刺も多いけれど、ショートショートを中心に39篇のシュールな作品集。

象 (文学の冒険シリーズ) スワヴォミール・ムロージェック
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動物・小人・雪だるまなど使われるモチーフが可愛いくて、童話的な作品も多い。確かに分からないものは多かったけれど、分からなくても、次はなんだろう、次はなんだろうと、どんどん読めてしまう。あからさまなブラックというよりはファンタジー的。どれが面白くて、どれがいまひとつというより 本1冊読みきってムロージェックをちょっと知るという感じか・・・(39編の中には既に記憶から抜け出ているものもあるし)。所々に挟まれている、4コマ漫画風のムロージェック自身のイラストと棘のある一言の方が、ずっとブラックだった。

夜間の白鳥番の男が、白鳥に促されてついつい酒場に連れ出し、二人揃って首になってしまう「白鳥」
拾った子猫が悪徳の身代わりになる「小さな友」
50年かかって新聞のパズルを解いてきたオトボケ老人の話し、「時代背景」
言うことをきかない子供のお守りをする守護天使が、業を煮やして体罰を開始する「罪と罰」
象のいない動物園に巨大ゴム製の似非象をつくりあげてしまう「象」
官僚全員が鳥になって飛び立ち、社会が大混乱する「ポーランドの春」
つまらないゲームにウンザリして、人間チェスの駒役が勝手に動き始める「王手」
タイトルだけで笑ってしまった「笑うでぶ」

シュールさって、それってそういう問題なの???と、私たちが思うのとは別の方向に向かって話しが展開していく可笑しさ+恐さ、そしてそれが当たり前の世界の中で、そこに生きている人々には悲壮感とか、罪悪感がない、ってことか。あなたの常識は私の常識ではなく、でも私の常識は本当に普遍的な常識なのか?と自分の価値観が一瞬揺らぐ。価値観だの常識だのは、社会が作り上げたもので、共産党時代の政府が押し付けようが、資本主義社会の多数派の意見だろうと、マスメディアが作り上げた扇動だろうと、そんなに変わらないのかも知れない。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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