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チェパーエフと空虚

1962年生まれのロシアのポストモダン作家。ベストセラー作家。奇才。私にとっては未開の地ロシアに、さァ、新風を吹き込んでおくれ・・・
チャパーエフと空虚チャパーエフと空虚
(2007/04)
ヴィクトル ペレーヴィン

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ペレストロイカの果てのソ連崩壊1991年はよく憶えている。そんなことが起こるんだと、とにかく驚いた記憶は今でも鮮明。その後の市場経済導入。戦後の日本のようなものを想像してよいのかどうか、でも単なる体制の変化では済まない程の価値観の変化だったんだろう。退廃文化のはずの”アメリカ”的なものが流れ込んでくる外資導入、言論の自由は復活しても、市場経済が導入されたからって、日々の暮らしが幸せになったわけじゃない。

この作品の中では大きく2つの時間が云ったり来たりする。ロシア革命時の赤軍とソ連崩壊後の精神病院。そこを行き来するのは、チェパーエフではなく「空虚」の方。これが主人公のピョートル・プストタ。プストタは空虚を意味する。主にはこの二人が繰り広げる、存在と非存在の哲学問答、それから精神病院の患者たちが語る自身の夢。ここを深く哲学的に理解しようとしたら、もう本は楽しめないよ。。。それよりも、あることないこと、時代もごちゃ混ぜの日本イメージが語られていたり、”アメリカ”的代表でアーノルド・シュワルツェネッガーがミサイルぶッ放したりするドタバタを楽しんでしまった方がいいのかも知れない。多数の実在した政治家の名前も、仏教もキリスト教もユダヤ教も登場するし、中国からモンゴルから日本まで盛り込むし、ロシア文豪ゴーリキイ、トルストイ、ナボコフ、ドフトエフスキイも語られるし、薄っぺらな知識を散りばめただけでもないこのテンコ盛り加減がいいんだろうなァ。どっちが夢でどっちが現実なのか?何が存在して、何が存在しないのか?いやだからすべてが空虚なんだってば・・

テンコ盛りもドタバタもありながら、ヴィクトル ペレーヴィンの語りはシニカルでもなく、現代ロシアを醒めた目で見るわけでもなく、格好つけているだけの現代文学でも、ポストモダンという名の小さな個々人の存在理由で終わるわけでもない。それどころかとても真摯的で熱い叫びを感じる。好きか嫌いかは分かれるだろうけれどね、で、私は実際ちょっと苦手かも知れない (ごめんよ・・・)
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