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いばりんぼの白馬

「レクトロ物語」 以来のライナー・チムニク。まだこんな邦訳があったのね。「セームの釣りびとヨナス」は既読だけれど、「いばりんぼの白馬」は初お目見え。古本カフェのお兄さんに感謝。文庫本なのがちょっと残念。そしてバロル舎から出ているあの美しい3冊の本たちの素敵さに改めて感謝。

セーヌの釣りびとヨナス;いばりんぼの白馬 (福武文庫―JOYシリーズ)
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サーカス団で暮らす後ろ足だけで立つという凄い芸当ができる白馬。サーカスで大喝采を受けるうちに、段々といばりんぼになり、親身に世話をしてくれるワストじいさんを捨てて、サーカスを飛び出してしまう。おめおめとサーカスなんかで暮らしていられるか!俺さまは世界一の器量良しなんだぞ!ところが、広い世界で出てみれば、食べ物にもろくにありつけず、寒くてひもじい日々。荷物運びも出来ない痩せた白馬は相手にされない。ようやく一軒の農家に拾ってもらい、働き始める。でもその後悪者の盗賊に連れ去られ、真っ黒な悪魔の馬に仕立てられたり、ようやくそこから逃げ出しても、みんなから石を投げられる一人ぼっちの放浪がまた始まる。ようやく昔いたサーカス団を見つけ出し、ワストおじさんの元に戻り、仲良く暮らしましたとさ・・・ (書いちゃうとつまらないおはなしにしか聞こえない・・・)

”放蕩息子の帰還” という一貫したテーマが根底にあるってことを今回訳者・矢川澄子さんのあとがきで知る。なるほど。「セームの釣りびとヨナス」然り、「タイコたたきの夢」然り。そして母なる大地に戻ると、いつもそこには、改心して戻ってきた放蕩息子を暖かく受け入れてくれる場所がある。これを出来すぎのうま過ぎる話しとして道徳臭くならないのが、チムニクのいいところ。人がいいだけのワストおじさんではなく、そもそも深い人なのよ。戦火に追われて故郷を捨てなければならなかったチムニクの難民体験は、人を憎んだり、自分の人生を恨んだりする方向には向かわず、こんな深い人間性を描く方向に向かったということか。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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