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罪のスガタ

本の帯は、騙されるゾ!騙されるゾ!と自分に言い聞かせるんだけど、大体理性が負ける。これも負けた。
”親愛なるアゴスティ
僕が思うに、これは映画化にもってこいの実に魅力的な物語だよ
フェデリーコ・フェッリーニ”

Silvano Agostiはイタリアの映画監督・作家で、私は映画も本もどちらもお目にかかったことがなく、この本が最初の出会い。

罪のスガタ罪のスガタ
(2009/11/30)
シルヴァーノ・アゴスティ

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イタリアでは、「裁判官」 「被害者」 「殺人犯」 という3つの短編(中編?)として出版されたものを、「罪のスガタ」として1冊にまとめ、この作品となったそうです。
老婆を絞め殺す犯罪のイメージに苛まれ、妄想ではなく現実の記憶ではないかと思い始める裁判官、彼はその記憶の地、ハンブルクに向かう・・・「裁判官」
ある日突然現れた探偵に、貴方が被害者となる(未来の)殺人事件を調査しているのでご協力を、と言われるエリートエンジニア、自分への殺人を回避しようと、自らの今までの人生を洗い出す・・・「被害者」
幾何学模様を頭で念じることで、相手を死に追いやることが出来る能力を備えたサイコキラー少年、彼はその能力を駆使し、やがて国家権力のトップに登り詰めていく・・・「殺人犯」

それぞれ立場が全く違うはずの、裁判官・被害者・殺人犯が混ざり合い、この3篇の読書後に罪の”スガタ”が浮かぶような面白さがあると同時に、それぞれが置かれた立場を逸脱した果てに、正反対の場所にあるはずの欲望を達成した歓喜が見える気がして、それが無気味。
「裁判官」は、自分が犯したかも知れない殺人を追いながら、自らそれを確証する (そこに喜びがありゃしないか?)
「被害者」は、殺される自分の人生を洗い出すことで日々を充実させる (そこに喜びがありゃしないか?)
「殺人犯」は、人知れず犯した殺人が白日の下に晒され、自分が落ちていくことを望む (そこに喜びがありゃしないか?)

人間の中身をぐいっと曝け出すような話しでありながら、軽いシンプルな文体で、ややブラック、ややコミカル、こういうの好きですねえ。そしてこういう小説を書いてくれるイタリア文学も好き。
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コメント

[C11] これ、おもしろそう!

さっそく探してみよう。

イタリア語からの翻訳は相変わらずうまかったのかな?
  • 2011-04-05 21:44
  • さかい@tadoku.org
  • URL
  • 編集

[C12] 初めて勧誘に成功?

もしや、帯の言葉にしてやられた?
この翻訳は、野村雅夫さんという方なんですが、お母さんがイタリア人、生まれこそトリノでイタリアへ留学もしているけど、日本育ちなんです。完璧なバイリンガルなのかもしれない。DJにして、伊映画や文学を紹介する団体の代表もしているというから、言語能力もさることながらイタリアへの愛も一杯なのでは?と想像します。翻訳は上手いと言うかですねえ、これは”日本語”です。

何語で読もうとしてます??イタリア語だったらあると思うけど、私が調べた限り英語ではSilvano Agostiの本はないんです。日本語でよければお貸ししますよ。
  • 2011-04-05 22:27
  • Green
  • URL
  • 編集

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Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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