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見えないものたちの踊り

「罪のスガタ」以来のSilvano Agosti。電子書籍とオンデマンド書籍で発売という形式に初めてお目にかかり、そのオンデマンド版とやらを購入。キレイなカラーコピーといった感じのソフトカバー版風の本が届いた。
見えないものたちの踊り (オンデマンドブックス)見えないものたちの踊り (オンデマンドブックス)
(2011/11/27)
シルヴァーノ・アゴスティ

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「罪のスガタ」の翻訳をした野村雅夫氏を含む大阪ドーナッツクラブの面々が翻訳を行った92編の短い短篇集は、ローマはヴァチカンのすぐそばで暮らす市井の人々を描いた小さな物語たち。時にホロリとし、時にニヤリと笑う、キラリと光る物語の集まり。それにしても翻訳は相変わらず上手い(というか、これは翻訳を超えた一作品だな)。

これら物語の「服用」を、一日最大一話にとどめることである。速読や斜め読みなんてもってのほか。スローに行こう。いくら気に入った話があっても次に期待して先を急がず、読み終えた内容を頭の中に入れたまま一日を過ごしてみてほしい。あるいは夜を越えてみてほしい。
と監修者野村氏にあとがきで云われても、後の祭り。一気に読んじゃったよ。。。

Agostiは映画監督だからなのか、どこか映画的。暮らしたこともないローマの市井の情景が浮んでくるような、映画の一部を切り取ったような、映像をぎゅっと凝縮したような、いや、濃縮された感じじゃないなあ・・・ 行間がたっぷり、つまり、描かれない余白を読者に委ねられているといった方があたっている。ほんの2~3ページの作品ばかりだけれど、エピソードの羅列というより、92篇の人生を見たような読後感。

ジェンダーも年齢も民族も含め、色々な人たちが登場し、どこか既存の社会システムの外側で生きている人たちが多いけれど、そこに常に目を向けるAgostiの観察眼に驚く。道徳臭くなったり、人生観を語るのは恥かしいけれど、彼の人間を見る目の優しさに共感しつつも、結局人生は誰かに決めてもらうものでもなく、誰かに依りかかるものでもなく、自分で選ぶもんなんだってことを改めて考えさせられる。何不自由のない暮らしに見えて、そこに足枷をはめているのは、自分自身なんだろうなあ。スローライフにスローフードとスロー、スローと云われても、精神が全くスローにならないのは、何故だろう?
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コメント

[C414] amazonに行ったけど・・・

買えなかったぞ? 残念だぞ。
  • 2013-05-03 15:45
  • さかい@多言語多読
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  • 編集

[C415] あら、ホント

最初は電子書籍しかなくて、ある日アマゾンでオンデマンド版ができていて、その時に買ったもの。確かに今は買えないみたいですねえ。

出版社サイトに行くと、電子書籍で買う場合どこへいったらいいかを教えてくれるけれど、どれも私には初もの。
今紙バージョンのオンデマンド版は三省堂しか扱っていない模様。
http://www.c-light.co.jp/modules/top/popup/978-4903439174_shop02.html

アマゾンですかさず買っておいてよかった・・・ でも面白い本を出しているのにこんなに買う手段が限られるというのも残念な話しだ。
  • 2013-05-03 22:38
  • Green
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