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Winter Journal

2011年12月の記事 からなんと1年半近く経ってしまった。PBの廉価版も出てようやく入手。自伝といえば自伝だけれど、そこはAuster。所謂自伝だと思って読んではいけない。
Winter JournalWinter Journal
(2013/09/05)
Paul Auster

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自分を2人称(YOU)で呼び、時系列も無視したランダムな回想。我が人生の・・・的な自己満足と自慢話を書くわけはないとしても、ノンフィクションの雰囲気は全くないAuster的フィクション風自伝。文学論も自身の作家人生の遍歴もなし、所謂興味深いエピソードを繋げるようなウケ狙いもなし。64歳を迎えた冬の雪のブルックリンから始まる回想は、記憶の残る幼少時代から、突然青年期に飛んだり、現在に戻ったかと思うと、少年時代へ遡るといった様相。しかも目次もない、つまり章割りもなく、辛うじてパラグラフがあるだけで、どこで休憩していいのか困ってしまった。

相変わらずしつこい羅列癖はしつこいんだけれど、文章の韻とかリズムを超えてダンスのよう。これについては、お終りの方で記述があるけれど。。
自分がいままで住んだ21件アパート・家、NYのみならず、フランス時代まで、の列挙(よく追えたものだ)。
好きな映画の説明はアンバランスに長く、好きな野球の思い出もこれまた多し。
フィジカル(自分の肉体、とくに性に関すること、怪我、病気、事故)な自己観察の多さは、何を意味するのか?
選択に失敗したり、幸運が振って来るような人生ではなかったみたいだけれど、現在の奥さん(作家のSiri Hustvedt)に出会い、もう一度結婚しようと決めたことが、それからの彼の人生のすべてを支えたといわんばかりに、Siri Hustvedt への愛情と敬意は随所に現れる。

と、こんな風にとりとめもなく、ランダムな羅列でありながら、彼の思考だけは時代を縦横して流れ続ける。自己卑下かと思うような情けないエピソードが多いけれど、そこが二人称の語りの魔術なのか、YOUと語るAusterと私が同じ視線に立ち、もう一人のAusterをぼおっと眺めているような気になってくる。彼が自分の人生を客観視するために二人称を選んだわけではないんじゃないか、と途中で思えてくる。

本を読みながら終始思ったのは、一体彼はどうしてこの本を書いたのだろうということ。
You have entered the winter of your life.
で終わるこの本。両親の死に対する自分の肉体のリアクション(心情を語らないところがAuster的)、パニック発作等の自分の肉体の衰え、家族もろとも死にかけるほどの自分が引き起こした自動車事故。とにかく死にまつわる記述が多くて、最後が「人生の冬」と現在の自分が立つ場所を表現する。なぜ、そこまで老後や死ばかりなのかが最後までわからず・・・ わからないけれど、ここで何かが変化しようが、作風が変わろうが、それはAusterの問題。私は新作を待つだけ。
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コメント

[C422] わ!

ファンとは冷たいものだ!
  • 2013-05-12 22:38
  • さかい@多言語多読
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[C423] え?

なんで?
書きたいものを書いてくれればそれでいいと思うけど。
  • 2013-05-12 23:55
  • Green
  • URL
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Green

Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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