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継母礼讃

最近気に入っているマリオ・バルガス=リョサ。ノーベル文学賞受賞だからといって、簡単に喰わず嫌いをしちゃいけないなあ・・・と反省させてくれる。元はリアリティーの世界を描いていたというけれど、固いばかりでもなく、コメディーもどきも書くし、文章はやっぱり上手いし、構成も上手いし、プロットも面白いし、のめりこんで読めるので読了後も気持ちいい。
継母礼讃 (中公文庫)継母礼讃 (中公文庫)
(2012/10/23)
マリオ・バルガス=リョサ

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とはいえ、こんなエロスの世界まで描くとは思っても見なかった。表紙の絵以外にも、本を開くと6枚の絵画がまず出てくる。ストーリーになぞられた6枚の絵画のバックストーリーと物語のストーリーを絡めていると途中で気付き、慌てて絵をじっくり眺めなおした。そういう意味ではこの本、あとがきの池内紀氏の解説を先に読んでもいいかも知れない。

天使のような金髪碧眼の美少年アルフォンソ、美貌の継母ルクレシア、そしてその夫でアルフォンソの父のドン・リゴベルト。俗っぽく言えば、この3人の禁断の三角関係の物語。天使いや堕天使というべきアルフォンソが時折見せる悪魔的雰囲気が、徐々に無気味になってくる。無垢な子供を装えば装うほど、それは後の崩壊を予言させる。

古代ギリシャやローマの神話かと見まがうほどの優雅さとエロスとナルシズム、更に覗きに倒錯にレスビアンに排泄行為まであり、(私にとっての)極めつけは主人のドン・リゴベルトの日々繰り返される儀式のような沐浴シーンのディテール。ルクレシアに身も心も奪われ、彼女を女神と崇拝するこの夫が、月曜は耳、火曜は爪、とルクレシアとの情事を妄想しながら、徹底的に身繕いをする。その行為はユーモラスでナルシシズムに以外の何ものでもないけれど、笑えない。笑えないどころか、この溺れていく男の様が愚かでもあり、悲しくもある。エロティックとグロテスクは紙一重、無垢と邪悪さも紙一重。

この本には続編がある。「ドン・リゴベルトの手帖」 綺麗に完了したエピローグがありながら、続篇を書いてしまったのね。。。最後にぞっとするほどのアルフォンソの残酷さを見せつけられたから、これ以上は恐くて読めない、と思いつつも、恐いものみたさで、続篇もその内読む予定。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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