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The Chalk Circle Man

「The Three Evangelists」 を読了後、早速シリーズ第2巻に行こうと思ったら、英訳がない(ちなみに、邦訳は3巻まで出ている)。唖然・呆然。。。英語版で作ってしまった世界が壊れてしまうのは悲しいので、邦訳はなかったことにし、別シリーズ、Commissaire Adamsbergに飛ぶことにした。
Chalk Circle Man (Commissaire Adamsberg)Chalk Circle Man (Commissaire Adamsberg)
(2010/01/01)
Fred Vargas

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フレンチミステリーをちょっと齧ったくらいで、比較文化論を述べるのもおこがましいが、イギリス的な重さも捻くれもなく、能天気で単純なアメリカ的とも違い、笑わせておいてしみじみさせるイタリアとこれまた違う、軽さと洒落具合。「The Three Evangelists」のような笑いはないけれど、共通するのは登場人物がエキセントリック揃いで、恋愛を絡め、(どうでもいいが)グルメネタもオシャレなパリもないところか・・・ 

エキセントリックの筆頭は、主人公のJean-Baptiste Adamsberg。第1巻目なのでパリに赴任したAdamsbergから始まる物語。難事件をやっつけた実績を引っさげてパリにきたAdamsbergは、エリート臭さも横柄さもないわ、冷たい切れ者でもないわ、キャラが薄いわけではないのに、どうにも掴みどころのない男で、理論的だけど直感的で、口癖はI don't know。口数も多くなく、部下にも自分の脳みその中を語らず、証拠集めにも奔走せず、黙って思考を巡らしているから、傍からみたら何を考えているのやら皆目わからない(私にもわからない。でも女性にモテる)。何か腑に落ちないというのが直感なのかと思いきや、最後にはそこになるほど、という理論が存在していて、張られた伏線があっちにもこっちにも転がっていたことに気付く。一方彼の部下のDanglardは理論的な知性派で(らしい)、2組の双子+1という5人の子供を抱える半分飲んだくれだけど、結構真面目な刑事。この男にあの上司では大変そう。さて、さらに登場するのが、人間観察が趣味(なのか?)で、気になる人間を追跡しノートに記録し、魚にぞっこんのハスキーボイスの中年女性Mathilde。本の冒頭に登場するのはAdamsbergではなく、実は彼女。その彼女が気に入って同じアパートに住まわせてしまう男性が、ライオンの血の毒で失明した美青年。絶対誰が誰だかわからなくならない登場人物たち。どいつもこいつも全く持って浮世離れしている。殺人事件を解決しなければならないという設定ながら、緊迫感とか悲壮感とかはなく、むしろ中盤まではフランスっぽく気だるいノリ。

パリの路地に青チョークで丸が描かれ、意味不明のメッセージが残されるという悪戯(?)が発生していたが、事件性がないため、警察の出番はない。だがこの現象に固執したのがAdamsberg。やがてこのチョークサークルの中に喉をかき切られた死体が置かれるという殺人事件が起きる。チョークサークルが描かれた後に、敢えてそこに死体を置いているとしか考えられないことから、このChalk Circle Manと犯人は別者ではないかという推測から捜査が始まる。

最終局面で、いや、これで終わらないと気付いたのは、私の勘のよさではなく、妙にページが余り過ぎているし、すっきりしない物言いだったからで、案の定最後にもう一度ひっくり返してくれた。Adamsbergの脳みその中身が明かされると、意外にもしっかりとした謎解き理論が存在していたが、謎解きより彼そのものに興味が沸いてきて、さらに濃いキャラの面々が常連で、この先のシリーズにも登場するなら、その浮世離れした彼らが、次は何をしてくれるのかは気になるところ。正統派ミステリーではないけれど、特段ミステリーに固執していない私には文学臭がある分読みやすい。さて・・・
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コメント

[C426] わー、これも・・・

kindle版がない!

おもしろそうなのに!!
  • 2013-05-24 10:46
  • さかい@多言語多読
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[C427] Kindle に固執すると・・・

最新の3巻くらいはKindleが出ているけれど、それより古いものはまだないみたいですねえ。あら、残念。また面白い本を逃したわね!(フランス語ならあるよん)
  • 2013-05-25 01:40
  • Green
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Author:Green
夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

流行りモノとか、人気モノとかすっかりどうでもよくなり、本と散歩とあとはぼぉ~~っとすることだけが今の楽しみ(それでいいのか?)

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