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エムズワース卿の受難録

ジーヴスとバーティーも良いけれど、こちらもちょっと齧ってみたい。
エムズワース卿の受難録 (P・G・ウッドハウス選集 2)エムズワース卿の受難録 (P・G・ウッドハウス選集 2)
(2005/12)
P.G. ウッドハウス

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綿菓子のようなスローな頭脳の持ち主、第九代エムズワース伯爵。美しい庭と平穏な暮らしを何より愛する老伯爵に、今日もトラブルが容赦なく襲いかかる。不肖の息子に鉄血の妹。腕はいいが頑固な庭師。騒動に揺れる伯爵の領地に平和は戻るのか?

綿菓子と形容されたエムズワース伯爵はおじいちゃん。古き良き荘園地主制度華やかなりし時代の伯爵様が今回は主人公。そして彼を取り巻くのは、お決まりのお屋敷で働く人々、スコットランド出身の庭師アンガス・マカリスターは主をへとも思わないやり手だし、有能執事ビーチは無理難題を命ぜられるとすぐに去就問題を持ち出すし、これまたお決まりの叔父叔母に伯父伯母に、頼りなげで調子ばっかりいい次男のフレディに、最強の妹レイディ・コンスタンスに・・・出てくる人出てくる人みんなお見事な役者たち。家や名誉や見たくれにはとんと構わぬこの御仁、南瓜と豚と花に囲まれた静かな暮らしを心底望み、元来スローな頭脳の持ち主。云うなれば、間抜けなのらくら爺ちゃんなんだけれど、始終怒ったり、悩んだり、慌てふためいたり、心休まる暇がない。まあ、起こる事件は当事者以外はどうでもいいことで、騒動だって貴族社会の浮世離れしたドタバタなのだけれど、そういうのほほんとした平和な騒動を読んでいるのと、こちらまで平和な気分に浸れる。貴族と庶民の間には社会的階級の違いというものはあるのだろうけれど、間抜けな貴族とちゃっかり者・したたか者の庶民という構図もいい。

これは短篇集。ジーヴスシリーズもそうだけれど、ウッドハウスの凄いところは、出てくるもの出てくるもの、まあ、ハズレがない。舞台もパターンも変わらないのだけれど、毎回笑いの果てには大団円。「豚、よォほほほーいー!」で大ウケしたと思いきや、「ブランディングズ城を襲う無法の嵐」は抱腹絶倒の大傑作! 抱腹絶倒ってだけでなく、これがなんとも清々しいんだなァ(勿体なくて粗筋も書いてあげられない)。

ジーヴスシリーズが、ボケと突っ込みの漫才だとすると、こっちは落語って感じか。訳者も違うけれど、こちらの方がブンガクとしては技巧派かも知れない。なあ~~んてことを云うと、ジーヴスが悔しがるかも。。。 なにはともあれ大変楽しゅうございました。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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