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ブランディングズ城の夏の稲妻

病み上がりの身体には、ほのぼのとしたものを・・・ 「エムズワース卿の受難録」ですっかり気に入ってしまったエムズワース卿シリーズ第2弾。
ブランディングズ城の夏の稲妻 (ウッドハウス・スペシャル)ブランディングズ城の夏の稲妻 (ウッドハウス・スペシャル)
(2007/09)
P.G. ウッドハウス

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と勝手にシリーズの呼称をつけていたが、大きな誤解だということに気付いた。これは「エムズワース卿シリーズ」じゃなくて「ブランディングズ城シリーズ」だった。エムズワース卿こと、クラレンスじいちゃんは別に主役じゃない。主役になるにはあまりにも発言場面が少なすぎる。時折登場しても ”ほお” とか ”へぇ?” とか ”ほっ” とか云っているだけで、頭の中はエンプレス・オブ・ブランディングズ(城主の高貴なる飼い豚。シュロップシャー農業ショー豚部門で見事優勝!)のことしか考えていない。

そんな浮世離れした城主の周りでは当人たち以外はどうでもいい騒動が今回も起きる。くっ付いたり離れたり、何かと忙しい2組の若い恋人たち、忠義心厚き執事の葛藤、城主の弟にして、回想録執筆のためブランディングズ城に逗留しているギャラハッド閣下、その暴露本発表を阻止しようと原稿争奪に駆けずり回る脛に傷持つ者たちと彼らが雇う小悪党たち、そしてエンプレス・オブ・ブランディングズ誘拐事件。一本筋が通った事件の顛末ということじゃないので、途中から何が問題で、誰と誰がどう絡み、解決すべき問題は誰の何なのかは混乱してくる、がそれもまあ、どうでもいいと言えばどうでもよく、どうせ最後は大団円に決まっているのだから、ノーブルな人々の遠まわしで大袈裟でまどろっこしい言い回しを楽しんでいれば、そのうちすべては見事に収まるのである。あっちこっちの騒動は、城主のエムズワース卿がな~~にもしなくても(少なくとも意図的には)、周りが勝手に収拾し、小悪人たちは自滅していく。めでたし、めでたし。。。

今回大活躍のギャラハッド閣下は、次男坊の放蕩息子キャラなのだけれど、そんなヤンチャさも歳をとってくればいい味わいになるという何ともいい役どころ。最後に、昔結婚しそこなった女性の娘のために人肌脱ぐあたりは、カッコ良過ぎ。大体においてウッドハウスの作品に登場する男たちは箸にも棒にもかからない間抜けな輩ばかりだけれど (悪人さえも間抜け!)、ギャラハッド閣下は不良中年貴族で、兄のクラレンスとのコンビぶりはなかなかのもの。ボケ=クラレンス ツッコミ=ギャラハッド という明快な凸凹ぶりではなく、時にはボケxボケのボケの応酬をするから期待を裏切る可笑しさ。国書刊行会のウッドハウス・スペシャルの次は 「ブランディングズ城は荒れ模様」 だが(さっきポチッた)、この「xxx夏の稲妻」と同じ設定・同じネタ・同じ登場人物でありながら、結局ついつい読んじゃうのよねぇ~~という出来らしい。乞うご期待!
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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