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耳ラッパー幻の聖杯物語

「耳ラッパ」と云われたら、それだけでタイトル買いしてしまうでしょ。。。レオノーラ キャリントンは本も残したけれど、おそらく本業は?と云われたら画家なんだろう。マックス・エルンストに霊感を与えたミューズらしい。その運命の出会いから妻を捨てたマックス・エルンスト。エルンストが強制収容所に抑留されると、精神のバランスを崩し、スペインの精神病院に入る。その後メキシコへ亡命したレオノーラ キャリントンが書いたのがこの「耳ラッパ」。以前に読んだレオノール・フィニの「夢先案内猫」に通じる芸術家の摩訶不思議な夢の世界の物語。二人ともシュールレアリスムの洗礼を受けているところが共通。
耳ラッパ―幻の聖杯物語耳ラッパ―幻の聖杯物語
(2003/07)
レオノーラ キャリントン

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聖杯を巡る物語を理解するには、キリスト教の背景が必要だけれど、それがなくても充分楽しめる(私も知らないが気にせず読んだ)。主人公の92歳のマリアンはキャリントン自身がモデルと云われている。耳ラッパとはマリアンの親友カルメラからプレゼントされた、云うなれば補聴器なのだけれど、銀と螺鈿のモチーフがあり、バッファローの角の形をしている(どう想像すればいいのやら・・・)というから、補聴器なんて呼べない。家族に厄介がられ、老人施設に送り込まれるマリアン。そこは70歳以上100歳未満のなんとも不思議な?元気な?怪しげな?でも生き生きとした可愛い老婆たちが沢山。その老人施設の食堂にかけられたウインクをしている尼僧の肖像画の謎と、突然起きる殺人事件から、物語はあれよあれよという間に、聖杯を巡るシュールな物語へと展開していく。突然襲ってきた氷河期の果て、この地球を再びよみがえらせるには、3つの謎々を解いて・・・とぶっ飛びの展開は、画家なら書けても、作家にゃ書けないかもね。

「70歳以下の人間と7歳以上の人間を信用してはだめよ。猫でもないかぎりね」
というのは、親友のカルメラの言葉。このカルメラがお洒落でユニークで知的で、マリアンとの友情が素敵。ウラン鉱脈を掘り当てて、大富豪になったカルメラ・・・ という設定には度肝を抜かれたが(いや、笑ったが)、大富豪になってもカッコイイばあちゃんは、親友のマリアンを救うために駆けつける。幻想と夢の世界というより、云っちゃァ何だけど、薬物中毒症的なシュールさ。いや、というより私にとっては「92歳~マリアンの大冒険物語」だったなあ。

レオノーラ・キャリントンの絵は日本でも公開されたことがあるそうで、表紙の絵も彼女の作品。グーグルの画像検索でも沢山みることが出来る。おまけに云うと、彼女はすっごい美人。ダリにとってガラがそうだったように、レオノーラ・キャリントンはエルンストにとってのミューズだったというのも、素直に納得。
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夜な夜な本読む・・・日本語は海外文学ばっかり。英語はフィクションばっかり。喰わず嫌いでどこまでいけるのか?

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