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フエンテス短篇集

どうもラテンアメリカ作家は作者と作品、どれを読んで、どれがまだで、そして何が家で未読本として積みあがっているかが把握できなくなっている。他の国ではさほど混乱しない。どれもこれも似ているってわけでもないのに、それが常々不思議。ラテンとひと括りにするのが原因だろうか?これは古本カフェで仕入れたのだけれど、読んだかもしれない?家にあったかも知れない?いや、たぶんなかったはず。で、なかった!(よかった!)

「誕生日」 それから、「老いぼれグリンゴ」 に続くフエンテス3冊目は短篇集。訳は木村榮一氏。最後の解説も懇切丁寧、それでいて説教調ではなく、作品や作者に愛情が感じられるのが私が木村氏を好きな理由。
フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇 (岩波文庫)フエンテス短篇集 アウラ・純な魂 他四篇 (岩波文庫)
(1995/07/17)
カルロス フエンテス

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3冊読んでようやくぼんやりとフエンテス像が出来上がってきた。あくの強いタイプではない。ラテンらしい暑苦しさはなく、ひんやりしている。幻想的ではあるがむしろゴシック調。そして読んでいる時より、読み終わって暫くすると、妙に染み込んで来るのがフエンテス。ストーリーが思いだせない割には、面白かったことだけ記憶に残るタイプ。

彼の作品は ”アイデンティティーの探求” というテーマが一貫としてあるというけれど、これに関しては夏向けのゴシックホラー(日本的に云えば、幽霊ばなしだ)として楽しんでしまえ!収録は下記6篇だが、世間的にも評判の 『アウラ』 はさすが面白い。が、大穴は 『チャック・モール』 だな。
『チャック・モール』
『生命線』
『最後の恋』
『女王人形』
『純な魂』
『アウラ』

西洋の二律背反的な概念、「生」と「死」、「過去」と「未来」、「美」と「醜」、「喜び」と「絶望」はここでは(ラテン社会では?)混在する。時間軸はこれまた西洋の直線的な時間軸ではなく、過去も未来も現在も交じり合う。いや、それらの境界線が曖昧といった方がいい。巻末の解説にあったが、フエンテスは、溝口健二監督の「雨月物語」に影響を受けたとか・・・ なるほど、日本の死生観は少なくも西洋のそれとは違い、むしろラテンに近い。今でも「死」が日常の中に取り込まれている日本では、この混在具合はそれほど不思議ではないのよね (お墓が町中で住居と混在する国はそうそうないらしい)。

フエンテスの作品は本邦未公開も多いが、ウチの未読棚には貴重な1冊が鎮座している(いや、し続けている)。500ページ、4cmのその本の舞台はずばりメキシコ。多様な人種と社会階級が混在する猥雑な大都市、メキシコ・シティの物語はへたっている真夏に持ち歩くには重過ぎるし、厚過ぎるし、暑過ぎる。
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